[九州経済白書] スポーツ産業の成長を
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 九州経済調査協会は「スポーツの成長産業化と九州経済」をテーマにした2019年版九州経済白書を発表した。
 九州・沖縄では今年以降、大型スポーツイベントがめじろ押しだ。ラグビーワールドカップの試合が3県で行われ、鹿児島県では国体・全国障害者スポーツ大会が開催される。東京五輪・パラリンピックでは18年12月時点で、鹿児島県内の5市町村を含む54自治体がホストタウンに登録された。
 こうした中、白書はスポーツの観戦や参加を目的とした観光客誘致を強化することで、経済面への恩恵が期待できると指摘した。
 スポーツ産業の現状を分析し、課題を提示したことは時宜を得たものと言えよう。地域がスポーツ産業の成長を目指す際の参考になるのではないか。
 政府は「スポーツの成長産業化」を成長戦略の柱の一つに位置づけ、12年に5兆5000億円とされた市場規模を25年には2.8倍の15兆2000億円にする目標を掲げている。これを受け、白書は九州・沖縄では12年の6306億円が1兆7245億円に成長すると想定し、裾野の広いスポーツ産業は成長の余地があると期待感を示した。
 一方で、地域資源を生かしたもてなしや情報発信、稼ぐ力の向上と活動の継続、コーディネーター的人材の育成の必要性を課題に挙げた。
 ラグビーワールドカップの南アフリカ代表が鹿児島市で事前キャンプを行うほか、国体に向けて各自治体が受け入れ態勢の整備に乗り出している。スポーツ合宿の誘致に熱心な自治体も多い。
 イベント関連の活動を一過性に終わらせず、持続的に地域が潤うような取り組みが必要だ。白書の提言に耳を傾けたい。
 白書は、大型スポーツ施設の維持費がかさみ、自治体財政を圧迫する要因となっている可能性を指摘した。スタジアムやアリーナといった施設を整備しても、地方圏では稼働率が低水準になりがちだとした点は見過ごせない。
 県内では県が多目的に利用可能な総合体育館、鹿児島市がサッカースタジアムの建設を計画している。大型施設の持つ「負の側面」に十分留意する必要がある。
 大崎町では今春、大規模な陸上競技拠点施設がオープンし、選手強化を図る。サッカーJ2に昇格した鹿児島ユナイテッドFCの活躍も期待される。
 県内は温暖な気候に恵まれ、自然や歴史、食など観光資源も豊富だ。これらをいかにスポーツ産業に取り入れて地域振興を図るか。官民一緒に知恵を絞りたい。