[大津いじめ自殺] 判決を防止につなげよ
( 2/21 付 )

 いじめが原因とみられる自殺が後を絶たない中、今回の判決の意味をかみしめ、対策につなげなければならない。
 2011年に大津市で起きた市立中2年の男子生徒の自殺について、大津地裁は「いじめが自殺の原因になった」と認め、元同級生2人に請求のほぼ全額となる計約3750万円の支払いを命じた。
 いじめと自殺の因果関係を主張する訴訟は全国で起こされてきたが、「原因は複合的なもの」などとして、なかなか認められることはなかった。
 今回の判決は、いじめと自殺の因果関係を明確に認めただけでなく、2人が自殺を予見できたとも指摘した。踏み込んだ判断であり画期的といえる。
 事実関係を一つ一つ認定し、生徒が自殺に追い込まれていく過程を浮かび上がらせた。
 判決によると、男子生徒は11年春、中学2年で元同級生2人と同じクラスになり、昼食を一緒に取ったり、花火大会に出掛けたりして関係を深めていた。
 だが、2学期に入ると首を絞められたり、弁当を隠されたりするなどエスカレートし、「いじる」「いじられる」という上下関係が固定化した。
 遊びの名の下に顔面を殴打したり、蹴ったりする暴行が始まり、友人関係が崩壊。男子生徒は祖母に、死にたいとの願いを吐露することもあった。
 予見可能性について、加害行為は「自殺願望を抱かせるような孤立感、離脱が困難であるとの絶望感の形成に十分だった」という判断は説得力がある。
 元同級生側は行為の一部を認めた上で、「遊びの延長で、いじめとは思わなかった」などと反論していたが、いじめられる側への想像力を欠いていたと言わざるを得ない。
 この自殺問題は、深刻ないじめ被害の対策が社会的に求められる契機となり、13年の「いじめ防止対策推進法」成立に結実した。
 心身や財産に重大な被害を受けたり、長期欠席を余儀なくされたりした場合を「重大事態」とし、学校側に文部科学省や自治体への報告を義務づけ、事実関係の調査や被害者側へ情報提供することも定めている。
 法施行後、いじめの認知件数が増え実態把握が進んだのは前進といえようが、自殺や行政対応の不備はなくならない。
 こうした中、各学校に「いじめ対策主任」を置くことなどを盛り込んだ法改正案をまとめる動きもある。いじめ防止に向け、あらゆる手だてを講じる必要がある。