[運転教習所混雑] 高校生の入校を柔軟に
( 3/24 付 )

 鹿児島県内の自動車教習所は近年、1~3月に深刻な混雑が常態化している。入校者の大半を占める高校3年生の中には、免許を取得できないまま進学・就職先へ転居するケースも出ている。
 混雑するのは、高校3年生の入校集中に加え、高齢者講習の受講者が増えたからだ。教習所側は入校者を平準化しようと、高校側に入校解禁前倒しを求めている。
 本年度、一部の高校が解禁を早めたことは一歩前進である。一層の広がりに期待したい。
 31校が加盟する県指定自動車教習所協会によると、昨年1~3月の入校者(普通1種)は年間の4割近い5322人。このうち高校3年生は約8割の4283人で、702人が年度末までに免許を取得できなかった。
 この時期に高校3年生の入校が集中するのは以前から変わらない。一方、高齢者講習は1998年に免許更新時の受講が義務化されて以降、増え続けている。2017年は10年前より約1万人多い4万1629人に上った。
 少子化で年間の入校者は減っており、教習所側は講師の増員に踏み出しにくい状況だ。働き方改革で長時間労働もさせられない。
 高校側は、早く進路が決まった生徒の教習所通いを認めると、受験を控えた生徒の集中が鈍ることなどを懸念している。卒業前に交通事故を避けたい意向もあろう。
 混雑が繰り返される要因に、高校3年生が毎年入れ替わることが挙げられる。不便を強いられても、免許を取得した後は不満の声が表に出にくくなるからだ。
 しかし、ただでさえ不慣れな転居先で教習所を転校したり、夏休みなどの帰省中に教習所通いを続けたりしなければならず、影響は軽視できない。
 高校の中には「民間企業である教習所の都合にすぎない」と入校解禁前倒しに消極的なところもあるという。だが、影響は高校生にとどまらず、免許更新期限が迫る高齢者の講習予約も取りにくくなっている。混雑緩和策を探ることは社会的要請といえる。
 全国的にも同様の傾向があり、文部科学省は昨年9月、都道府県教育委員会に教習所の相談に応じるよう促す通達を出している。
 高校側は、学校や地域の実情に応じ、教習所通いや免許証管理に関するルールを定めることで、入校解禁に柔軟な対応はできないか。前向きな検討を求めたい。
 教習所側も丁寧に実情を説明し、高校側の懸念や要望に真摯(しんし)に耳を傾けてほしい。双方の歩み寄りで、高校生や高齢運転者へのしわ寄せを少しでも減らしたい。