[金融トップ交代] 鹿児島活性化へ貢献を
( 7/11 付 )

 鹿児島銀行、南日本銀行、鹿児島相互信用金庫の3金融機関のトップが交代した。鹿銀頭取に松山澄寛氏、南銀は斎藤眞一氏、鹿相信理事長に永倉悦雄氏が就いた。
 人口減少が進む中、金融機関に対する地域の期待は大きい。地場産業の振興など、県内経済の活性化に向けてリーダーシップを発揮してほしい。
 鹿銀は9年ぶりの新頭取誕生となった。松山氏は「従来の資金循環の手伝いから、地域活性化に力点を置く」と、業務を多様化する考えを示した。
 斎藤氏は地域経済の縮小や激変する金融環境を挙げて、「中小零細企業を全力で支え、スピード感を持って課題に取り組む」と抱負を述べた。
 鹿相信は不正融資や着服が発覚し、昨年、九州財務局から業務改善命令を受けた。永倉氏は「コンプライアンス(法令順守)を重視した企業風土の再構築」に職員一丸で取り組む決意を語った。
 地方金融を取り巻く経営環境は厳しさが増している。2019年3月期決算は、売上高に当たる経常収益がいずれも減少した。
 東京証券取引所などに上場する地方銀行78社の3月期決算も、全体の約7割が減益か赤字だ。人口や企業数の減少に加え、日銀のマイナス金利政策などによる貸し出し利ざやの縮小が続いていることが背景にある。
 日銀は4月、10年後に地銀の約6割で純損益が赤字になるとの衝撃的な試算を公表した。金融庁も地銀や信用金庫などに対する新たな監督指針を打ち出し、持続可能なビジネスモデルの構築を求めている。
 収益力アップや経費削減など、経営安定化への取り組みは待ったなしだ。戦略的な経営手腕が問われよう。
 鹿銀は4年前に肥後銀行(熊本市)と経営統合し九州フィナンシャルグループを設立、対策を進めてきた。農業分野など異業種参入に力を入れるほか、キャッシュレス商業施設を開業させるなど商社的な機能強化を図る。
 南銀が中核に据えるのが、企業の販路拡大などを支援するコンサルティング業務だ。取引先の売り上げを向上させることで融資につなげ、本業の拡大も目指す。
 ただ、現実問題として収益力強化は容易ではない。各金融機関がこれまで以上に地域に密着し、地道な努力を続けることが欠かせない。
 本業の貸し出し強化に向けても、地域のニーズを掘り起こし、企業の将来性を評価する「目利き力」に磨きをかける必要がある。
 日銀は現在の緩和策を継続する方針だ。だが、地方金融の低迷がさらに深刻化する事態になれば、景気全体への影響も懸念される。政府も現状を直視し、対策を講じるべきだ。