[あおり運転] 撲滅めざし摘発に力を
( 8/24 付 )

 危険なあおり運転が後を絶たない。警察は撲滅に向け、安全対策と取り締まりに全力で取り組んでほしい。
 茨城県内の常磐自動車道で、無理やり車を停止させ、運転していた男性を殴ってけがをさせたとして傷害の疑いで43歳の男が逮捕、送検された。
 被害者が警察に提出したドライブレコーダーに、男が運転する車が割り込む様子や、暴行する瞬間が映っていた。男は愛知県や静岡県でも同様の運転を繰り返した疑いがある。
 車間距離を極端に詰めたり、急な車線変更や蛇行運転、幅寄せをしたりする「あおり運転」は悪質極まりない。高速道路では人命に関わる重大事故につながる可能性がある。
 山本順三国家公安委員長は今回の事件を受けて、「さまざまな手段を講じて抑止していかなければならない」と会見で述べた。
 あおり運転は、2017年6月に神奈川県の東名高速で無理に停車させられた夫婦が犠牲になった追突事故をきっかけに関心が高まり、社会問題化した。
 警察庁は昨年、あらゆる法令を駆使した摘発を全国の警察に要請し、取り締まりを強化している。
 昨年1年間に前の車と距離を詰め過ぎる道交法の「車間距離保持義務違反」の摘発は1万3000件に上り、前年に比べて倍増した。
 運転免許停止の行政処分適用にも力を入れる。交通トラブルからあおり運転をし、暴力事件を起こした場合、「危険性帯有者」として免許停止にした事案は過去最多の42件だった。行政処分は交通違反での点数の累積による実施が一般的であり、積極的な適用といえる。
 悪質な死亡事故には危険運転致死罪や殺人罪を適用するケースもある。ただ、あおり運転が横行している現状に、東名高速事故の遺族は「二度と犠牲者を出さないよう、法律の厳罰化が必要ではないか」と訴える。今後の検討課題とすべきだ。
 鹿児島県警によると、昨年1年間の「車間距離保持義務違反」の摘発は56件だった。あおり運転の相談は326件で、前年の5倍以上増加した。今年も7月末現在、200件近くに上る。
 誰もが被害に遭う可能性がある。悪質運転の実態を伝えられるよう、車内外を録画するドライブレコーダーの設置など自衛することも重要だ。
 実際に被害に遭った場合は、サービスエリアなど事故に遭わない場所に避難し、110番する。ドアをロックし、車外に出ない。相手に詰め寄られても窓を開けないことだ。
 警察、行政は一層の啓発活動に力を入れるとともに、ハンドルを握るドライバーも譲り合いの精神で安全運転に努めたい。