[代表質問] 素っ気ない答弁に終始
( 10/10 付 )

 第4次安倍再改造内閣が発足後、初の国会論戦が始まり、安倍晋三首相の所信表明に対する代表質問が3日間にわたって衆参両院で行われた。
 新会派を結成した立憲民主党など野党は、関西電力役員らの金品受領問題などについて政府を追及した。だが、安倍首相が質問に正面から答えようとしなかったのは残念である。
 消費税率引き上げに伴う景気の腰折れが懸念され、日米貿易協定の承認案が来週にも国会に提出される。課題は山積している。国民の期待に応えられる質疑とは言い難かった。
 立民の枝野幸男代表は関電問題で「役員らが受け取っていた金品の原資は原発マネーであり、原発政策の根幹に関わる大問題。政府主導で背景を調査すべきだ」と政府の姿勢をただした。
 これに対し安倍首相は「第三者の目を入れて全容を解明することが不可欠だ」と答弁した。原子力事業への信頼が失われかねない事態への危機感が乏しいのではないか。
 この問題では、自民党の世耕弘成参院幹事長の資金管理団体が、福井県高浜町の元助役関連の会社社長から献金を受けていたことも明らかになったばかりだ。原発を巡る政官業の癒着はなかったのか。関係者を国会に呼んで原発マネーの流れを徹底的に洗い出すのが国会の務めだろう。
 枝野氏は国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」への補助金不交付は「事実上の事前検閲につながる」と批判したが、首相の答弁は「文化庁が判断した」と素っ気なかった。
 さらに、表現の自由への見解を問われた首相は「憲法に基づき保障されている。立憲を党名に掲げる枝野氏であれば、ご理解いただける」と、補助金不交付がはらむ問題には向き合わず、はぐらかす答弁に終始した。
 改憲手続きを定める国民投票法改正案は今国会の焦点である。首相は野党各党に改憲案の策定を呼び掛け、「憲法審査会の場で活発な議論を行ってほしい」と求めた。改憲では立場の異なる野党の出方も注視したい。
 消費税増税直後の国会である。消費の落ち込み、軽減税率やポイント還元による混乱など国民の不安は大きい。増税分を財源として政府が目指す「全世代型社会保障」の具体像など関心の高いテーマも多い。
 きょうから衆院予算委員会が始まる。かんぽ生命保険の不正販売報道を巡って日本郵政グループの抗議を受けたNHK経営委員会がNHK会長を厳重注意した問題では、NHKの石原進経営委員長らを参考人招致する。
 東京電力福島第1原発の処理水処分問題のほか、北朝鮮による日本人拉致問題や日韓関係などに今後どう対処していくのか。安倍首相には謙虚で丁寧な説明を求めたい。