[台風19号1カ月] 災害ごみ連携し撤去を
( 11/13 付 )

 東日本に甚大な被害をもたらした台風19号が上陸してから1カ月がたった。だが、被災者の生活再建は遅々として進んでいない。
 原因の一つは水害が広範囲に及び、住宅被害が昨年の西日本豪雨の約5万1000棟を大きく上回る8万7896棟に上っているからだ。
 そのため、支援が行き届かず、浸水や損壊したままの住宅に戻って生活する「住宅被災者」も相当数いるとみられる。本格的な冬が訪れる前に必要な対策を講じることが不可欠だ。
 さらに、泥をかぶった家財道具や建材など「災害ごみ」が大量に発生し、処理の追いつかない状態が続く。悪臭や衛生面が懸念されるだけに、自治体と民間業者らが連携し、撤去を急がなければならない。
 19号は記録的な豪雨をもたらし、7県71河川140カ所で堤防が決壊、大規模な住宅被害につながった。11日時点の共同通信の集計では、13都県で災害関連死を含めて90人が亡くなり、5人の行方が依然分かっていない。
 浸水を免れた自宅2階などで生活する在宅被災者は、被害が大きかった宮城県丸森町だけでも3000人を超えると推計される。片づけ作業に日々追われている高齢者も少なくない。
 普段の暮らしを取り戻すには、まず快適な住環境が欠かせない。家屋内の泥のかき出しや屋内清掃、水に漬かった畳や家具の搬出など多くの作業があるが、どこもボランティアなど人手が足りないのが現状のようだ。
 全国社会福祉協議会のまとめでは、これまで13万人以上がボランティア活動に従事した。それでも被災地が広範囲のため人手が分散しており、学生が長期休暇を取りにくい時期であることも影響しているという。
 送迎バスを走らせている地域もある。しかしボランティア頼みは限界だろう。政府には人手不足を解消する方策を検討してもらいたい。
 災害ごみは復旧作業が進むにつれて増え続け、環境省は西日本豪雨の約190万トンを超える数百万トンに上ると予測する。処理には2年以上かかる見込みという。
 政府は19号など一連の豪雨や暴風による被災者の生活と事業再建に向けた対策パッケージを決めた。生活圏から土砂や廃棄物を年内に撤去する目標も盛り込んだ。
 千曲川が氾濫した長野県では自衛隊と自治体、民間が連携し、ごみを収集する作業が始まっている。さらに、集まったごみは周辺の三重県や富山県などが受け入れている。
 地球温暖化の影響で、今後も大規模な台風の来襲は避けられまい。政府は早期に復旧が図れるよう、災害が広域に及ぶ事態を想定した豪雨対策に乗り出すべきである。