[安保改定60年] 平和と繁栄にどう貢献
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 現行の日米安全保障条約は署名から60年を迎えた。この間、日本の外交・安保政策の基軸と位置づけられ、アジア太平洋地域の安定に寄与してきたのは間違いない。
 だが、東西冷戦終結後、中国の軍事大国化や北朝鮮の核・ミサイル開発、中東情勢の悪化など安保環境は大きく様変わりした。また、「自国第一主義」を掲げるトランプ米大統領が国際秩序の混乱を招いている。
 今後、国際社会の平和と繁栄にどう貢献していけばいいか。日米同盟の在り方や日本自らが取り組むべき課題について議論を深めなければならない。
 安保条約は1951年に調印され、60年に全面改定された。米国には日本防衛の義務が課される一方、日本は米軍に基地を提供する義務を負う「双務的」な条約である。
 冷戦下では米国の極東戦略を支え、ソ連の脅威を封じ込めるのが日米同盟の主な目的だった。日本は米国の「核の傘」を含む抑止力に守られ、経済復興・発展を実現したが、湾岸戦争や中国の軍拡を経て転機を迎える。
 96年に署名された日米安保共同宣言は、目的を「アジア太平洋地域の安定的繁栄」と再定義し「日本と極東」から広域化した。翌97年には朝鮮半島危機を踏まえて自衛隊と米軍の役割を定めた日米防衛協力指針を改定した。
 2015年に安倍政権下で成立した安全保障関連法は、集団的自衛権の行使を解禁した。米軍艦艇などを守る「武器等防護」をはじめ自衛隊の任務は拡大、活動範囲も地球規模に広がっている。日米の軍事的一体化は加速し、宇宙の軍事利用でも取り組みが進む。
 一方で日米同盟は変容を迫られている。トランプ氏は条約を「不公平な合意だ」と非難し、日本に一層の負担を要求しているからだ。大統領選をにらんだ発言との見方もあるが、今年本格化する在日米軍の駐留経費負担(思いやり予算)を巡る交渉で日本は厳しい対応が迫られるだろう。
 日本は既に高額な思いやり予算を負担し、米国製防衛装備品を大量購入している。在日米軍基地が米国の世界戦略を支えている重要性についてトランプ氏の理解を得る努力も欠かせない。
 沖縄県に基地負担が集中している構図は変わっていない。国土面積の約0.6%の沖縄県に、在日米軍専用施設の約70%が集中する。普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に地元の反発は強い。さらに在日米軍人らの特別な法的地位を定めた日米地位協定の改定にも取り組む必要がある。
 対米関係以外にも、中国との互恵関係や対北朝鮮での韓国との連携、日本独自の国際貢献策など課題は山積している。日米安保体制を基軸としながらも多角的な外交を展開し、安全保障の枠組みを築いていくべきである。