[残業上限規制] 業務効率化図る機会に
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 昨年4月の働き方改革関連法施行に伴い、大企業で始まった罰則付きの時間外労働(残業)の上限規制が、4月1日から中小企業にも導入される。
 長時間労働を是正し、多様な人材が活躍できる環境を整えることが急務となっている。中小企業が働き方改革を進めるには課題が多いが、業務の効率化に積極的に取り組んでほしい。
 2018年に成立した働き方改革関連法は、過労死や健康被害を防ぐのが大きな狙いである。これまで青天井だった残業時間に原則月45時間、年360時間の上限を設けた。年5日の有給休暇取得も義務付けた。
 共同通信社が今年1、2月に主要企業110社を対象に行った調査によると、49社が前年に比べて残業時間が「変わらない」「増えた」と回答、「減った」は57社にとどまった。IT(情報技術)の活用や仕事内容の整理などに取り組んでいるものの、改善は手探り状態のようだ。
 残業が当たり前となっている働き方を転換することは容易ではない。だが、従来の慣行を改めなければ、過労自殺などの悲劇はなくならない。企業は課題に向き合い、過重労働の解消に向けた工夫を重ねる必要がある。
 鹿児島労働局によると、県内の労働者1人当たりの年間総実労働時間はここ数年、全国平均を30時間以上上回る。年休取得率も10年以上全国より低い状況が続く。医療、福祉などマンパワーが必要な労働集約型の業種が多いことが要因となっている。
 生産年齢人口の減少で、鹿児島でも人手不足が深刻化している。「人が足りないのに、業務は増えている」「働く時間を減らすと、会社が回らない」といった切実な声が労使双方にある。
 こうした状況の下、中小企業が残業削減に取り組むのは難題に違いない。しかし、仕事のやり方を見直し、無駄を省くことは従業員の働く意欲向上にもつながるだろう。経営者が働き方改革を前向きに考えることが重要だ。
 近年、企業にとって人材確保が大きな課題となっている。会社を選ぶ際に大学生、高校生が重視するのが、残業時間や年休の取りやすさだ。企業が成長するためにも、働きやすい環境整備に力を入れることが欠かせない。
 県社会保険労務士会は「働き方改革推進支援センター」(鹿児島市)で相談に応じている。時間短縮や生産性向上が図られた具体的事例を紹介すれば、他の企業の参考になる。また、大手企業の改革のしわ寄せが下請けの中小に及んではならない。関係機関には適切な監督指導が求められる。
 残業の抑制は子育てや介護、地域活動など、仕事と暮らしの調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進につながる。社会全体で働き方改革を前に進めたい。