[梅雨期の備え] 早期避難と感染予防を
( 5/23 付 )

 奄美、沖縄地方が梅雨入りし、九州南部も近いとみられる。大雨による水害や土砂災害が懸念される時季である。災害から身を守るための備えが求められる。
 加えて、新型コロナウイルスの終息が見通せない中でもある。避難先での感染拡大が重なる複合災害を避けなければならない。感染予防を徹底した上で、早め早めの避難を心掛けたい。
 昨年10月、東日本に記録的大雨をもたらした台風19号では100人余りが犠牲になった。自宅にいて浸水や土砂崩れに巻き込まれたケースも多く、早期避難の重要性が浮き彫りになった。
 土石流や地滑りなどの恐れがある土砂災害警戒区域は鹿児島県内に約2万カ所ある。安全に避難するためには身の回りに危険箇所がないか日頃から点検しておくことが大切だ。
 政府は避難のタイミングや避難先を示す「避難行動判定フロー」を新たに作り、市町村のホームページなどで周知を図っている。ハザードマップと合わせ、「避難に時間はかかるか」といった質問に「はい」「いいえ」で答えていくと、適切な避難行動が確認できる。あらかじめ心構えを持つためにも活用したい。
 避難する際は、市区町村による避難指示や避難勧告、避難準備・高齢者等避難開始の呼び掛け、気象庁と都道府県が共同発表する土砂災害警戒情報などに注意して行動すべきだ。
 ただ、昨年の台風19号で被災した地域の住民に気象庁が実施したアンケートで、大雨の特別警報の解除後、警報は継続中なのに安全と考え、避難先から戻ったという回答が3割に上った。
 気象庁は勘違いされないような表現を今年の梅雨期から導入する方針だが、まだ実現していない。災害リスクを分かりやすく伝える改善を急がなければならない。
 政府は4月初め、「3密」になりやすい避難所の感染症対応策を自治体に通知した。この中で、避難者のスペースを確保するため可能な限り多くの避難所を設け、ホテルや旅館、親戚の家などへの避難も検討するよう求めた。
 3密を避けるには、公共施設以外の建物も活用して避難の分散化を図ることが欠かせない。自分の車やテントを使って避難生活を送る人への対応も求められよう。自治体は前例にとらわれず、避難所の環境整備や増設を早急に進めてほしい。
 住民も自らの命は自分で守る意識を持ち、感染予防に努めることが大切だ。マスクや消毒液、体温計はできるだけ自分で準備し、避難先でも手洗いやせきエチケット、検温を徹底したい。
 感染を恐れて避難が遅れる人を出してはならない。日頃から予防策を整え、災害が迫ったと感じたら迅速に行動することが重要である。