[緊急事態解除 政府対応] 第2波に備え検証必要
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 新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言が全面解除された。外出やイベントなど社会経済活動が段階的に緩和される。
 安倍晋三首相は会見で「1カ月半で流行をほぼ収束させることができた」と胸を張った。一方で、現時点での検証には消極的な考えを示した。
 感染の再流行は避けられまい。政府はこの間の対応を検証し、反省点を教訓とする必要がある。その上で第2波の影響を最小限に抑えるための備えを急ぐべきだ。
 1月末に世界保健機関(WHO)が緊急事態を宣言して以来、日本政府の対応がちぐはぐだった感は否めない。
 2月には横浜に到着したクルーズ船で集団感染が判明、政府は同月末に全国的なイベント自粛や臨時休校を矢継ぎ早に要請した。迅速さが求められたとはいえ、唐突な要請は多くの国民の生活に混乱を招いた。
 さらに、中国からの入国制限など水際対策に本腰を入れ始めたのは3月に入ってからだ。来日が予定されていた習近平国家主席への配慮のほか、東京五輪・パラリンピック開催へ望みをつないだからだとも指摘された。
 コロナ禍で収入が減った一部世帯に30万円給付する方針は受給要件が分かりづらく、公明党の強い主張もあって全国民への10万円給付に方針を転換した。全世帯への布マスク配布も不評を買った。
 5月上旬の共同通信社の全国世論調査では、政府対応を「評価しない」との回答が57.5%に上った。3月中旬の調査と比べて評価しない人の割合が10ポイント以上増えたのは、迷走した対応や政策への不満の表れに違いない。
 政府は経済回復に軸足を移すが、第2波への備えが十分とは言えまい。
 日本は人口当たりの感染者、死亡者数が先進国の中で際立って少ないのは確かだ。WHOのテドロス事務局長は日本の対策を「成功」と評価した。
 だが、なぜ少ないのか検証されていない。医療現場の努力、医療体制のレベルや公衆衛生意識の高さ、国民皆保険制度などさまざまな要因が考えられるが、第2波に襲われた時、同様に乗り切れるとは限らない。
 PCR検査が政府の方針通りには増えず、マスクや防護服などの供給不足も深刻化した。また、クラスター(感染者集団)を抑えるのに有効とされる抗原検査の充実など課題は多い。今のうちに手だてを講じておかなければならない。
 政府はこれまで具体策を都道府県に丸投げしてきた面もある。財政や人材に余力のない自治体は少なくないだろう。国民の命と暮らしを守るために支援を一層強化すべきである。