[緊急事態解除 経済再生] まず雇用維持に全力を
( 5/28 付 )

 政府はきのう、新型コロナウイルスの追加経済対策と2020年度第2次補正予算案を決定した。
 雇用維持や中小企業の資金繰り支援などが柱で、一般会計歳出総額は補正予算としては過去最大となる31兆9114億円に上る。
 緊急事態宣言が全面解除され経済活動は徐々に再開するが、感染防止に配慮を続ける必要があり、回復のテンポは緩やかだろう。一方で宣言に伴う外出自粛・休業要請で消費が冷え込み、倒産や失業の深刻化が懸念される。
 直撃を受けているのは中小・個人事業主や、非正規雇用など社会的に立場の弱い人々である。政府には、経営支援や雇用維持など困窮者の救済に全力を挙げてもらいたい。
 経済対策の雇用面では、休業手当が支払われない従業員が自ら申請することで賃金の8割を受け取れる制度を導入する。業績悪化で従業員を休ませた企業には国が雇用調整助成金を支給するが、手続きが煩雑で利用しない企業も多い。新制度を生かしてほしい。
 助成金の日額上限が現在の8330円から1万5000円に引き上げられるのは歓迎できるが、後で振り込まれるため事業者がひとまず資金を工面する必要もある。使い勝手のいい仕組みに改める努力が要る。
 新型コロナ関連の解雇や雇い止めは、政府が把握しているだけでも1万人を超えている。4月に急増し、5月は前月の3倍増と悪化が加速している。
 6月末は四半期契約の派遣社員の多くが更新のタイミングに当たり、大量雇い止めが懸念されている。不当な行為のないよう監視する必要がある。
 中小事業者支援では、上限を設けて家賃の3分の2までを半年分補助するほか、収入減に苦しむ事業者向けの「持続化給付金」の対象も拡大する。
 1~3月期の国内総生産(GDP)が2四半期連続のマイナスとなり、4~6月期もさらに悪化しそうだ。経済のV字回復は望めないにしても、GDPの6割を占める個人消費の回復に向けては、雇用を維持し家計を安定させる必要がある。日本経済の根幹を支える中小企業の事業継続とともに、最優先で取り組むべきである。
 新型コロナ特別措置法に基づく緊急事態宣言は、強制力を伴わない「要請」という形で外出自粛や店舗の営業を規制した。あくまでも「要請」であって、国は補償の責務を負わず、国民は自己責任での対応を余儀なくされた。
 安倍晋三首相は「日本モデルの力を示した」と自賛したが、いずれ流行の第2波が訪れることを想定すれば、国民の良識頼りでは限界があろう。休業に伴う補償措置を法的に明確化し、実効性を高めることが重要である。