[緊急事態解除 ネット活用] 生活向上につなげたい
( 5/29 付 )

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言下、外出の自粛要請などで窮屈な生活を強いられた。
 その間、医療体制などさまざまな課題が表面化した。一方、インターネットの活用でテレワークやネット通販などが急速に進んだ。
 新型コロナの再流行は不可避とされ、長丁場の対応が求められる。「新しい生活様式」の定着を図りながら、ネットの利点をうまく活用して生活の向上につなげたい。
 政府の専門家会議は感染防止の三つの基本として(1)身体的距離の確保(2)マスクの着用(3)手洗い-を挙げている。身体的距離を確保するための最も顕著な取り組みが在宅勤務などのテレワークや時差通勤、オンライン会議の普及だろう。
 人との接触を社内外で減らし、特に都会では通勤ストレスが解消される。時間が有効に使えるようになり、家族とのコミュニケーションが増えたといった歓迎の声も聞かれる。
 在宅勤務はITサービスが充実し、以前より格段に進めやすくなった。だが、資金面で余裕がなく環境が整っていない小規模事業者には、依然ハードルが高い。押印のため出社しなければならないといった日本特有の商習慣も壁になっている。
 対面が基本の営業職でも意思疎通への不安は大きい。企業はこうした課題の解決に工夫を重ねて、新しい働き方を社会に根付かせたい。
 初診から可能になったオンライン診療も注目されている。スマートフォンなどの画面を通じて医師が患者を診る仕組みだ。患者は待ち時間がなく院内感染を防ぐメリットはあるが、誤診の恐れがないとは言えまい。
 通販を利用する高齢者も増えた。スーパーの人混みを避けるなどの利点がある。外食産業が危機に直面する中、販売先を失った生産者が通販に活路を求めている面もあるようだ。
 ネットは学校現場でも休校期間に活用されたり、遠くで暮らす家族間を結ぶ手段として使われたりするなど生活に欠かせなくなっている。
 ただ、ネット上では誤った情報が広がりやすく、給付金制度に便乗した詐欺が発生するなど落とし穴が隠れていることを忘れてはなるまい。セキュリティーを一層高める必要もある。
 今はネットの特性を生かし、可能な限り第2波を防ぐしかない。だが、人と触れ合い、互いの息づかいが伝わる関係を築いてこそ、他者を思いやる気持ちも育まれるだろう。
 現代社会はひたすら便利さを追求してきた。コロナ禍がそれに拍車を掛けるのではないか。終息後の暮らしを見据え、考える時である。