[ウェブでの就活] 利点生かし乗り切ろう
( 6/2 付 )

 就職を目指す来春卒業予定の大学生らの選考がきのう解禁され、今季の就職活動はヤマ場に突入した。
 新型コロナウイルスの感染を防ぐため、主要企業の多くが筆記試験や採用面接を非対面のウェブ形式に切り替え、手探りの状態だろう。
 学生、企業とも直接会わない形での面接に戸惑いがあるかもしれない。しかし、効率的な面もある。ウェブ形式のメリットを最大限生かして乗り切りたい。
 共同通信社が4~5月に主要111社に実施した新卒採用アンケートで、説明会や面接をウェブで実施するという回答は83%を占めた。
 ウェブ会議システムなどを使うことにより、互いに行き来する必要がなくなる。学生は交通費や移動時間がかからず、より多くの企業に応募できる。積極的に活用したい。企業も都市、地方を問わず多様な人材と接点を持つことが可能になる。
 画面越しでは雰囲気がつかみづらいという声は双方にあるようだが、感染収束が見えない中ではやむを得まい。例年以上に時間をかけ、納得が得られるまで質疑応答を重ねる丁寧な活動が求められよう。
 鹿児島県内でも先月、ウェブ形式の合同企業説明会が初めて開かれた。県と鹿児島労働局が企画し、5日間で県内の100社余りと学生ら約1100人をつないだ。
 学生には「スケジュールが組みやすい」と好評で、企業側もじっくり話せると、手応えを感じていたようだ。県などには双方の支援につながる取り組みを今後も展開してほしい。
 ただ、コロナ禍による急速な業績悪化は企業の採用計画に影響をもたらしている。ANAホールディングスや日本航空は採用活動を中断。「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」の運営会社は採用を中止した。
 共同通信社の新卒採用アンケートでも26%が前年度より採用数を減らすと回答している。人手不足を背景にした「売り手市場」は影を潜めつつあるようだ。
 こうした中、経団連が大学側とつくる産学協議会が先月、採用選考について複数回の機会確保に最大限努力するとしたのは心強い。すでに採用活動を長期化させる方針を打ち出した企業もある。
 協議会は地方の学生が不利にならないよう配慮することも申し合わせ、産学合同の企業説明会や採用選考会を開催するという。学生が不安を解消し、落ち着いて活動できるよう早急に具体化してもらいたい。
 コロナ禍をしのぎ、その後の日本経済を支えていくのは人材である。春の一括採用の見直しを含め、長期的な視点で多様な採用の形を検討したい。