[2020知事選・原発政策] 判断迫られる運転延長
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 鹿児島県知事選の大きな注目点の一つに原発への対応が挙げられる。
 次の知事は任期中に九州電力川内原発の運転延長について判断を迫られることが予想されるからだ。
 立候補者7人の公約などからは「脱原発」を目指す方向は一致するが、運転延長に関しては「認めない」「20年の延長は非現実的」「検証する必要がある」など違いが見える。知事の判断は今後の原発の在り方に影響を与えよう。政見を見極めたい。
 川内原発はいま1、2号機ともに運転を停止している。テロ対策の「特定重大事故等対処施設」(特重施設)が設置期限に間に合わなかったためだ。
 特重施設は、東日本大震災による東京電力福島第1原発事故後の新規制基準で設置が義務付けられた。山を切り開き、トンネルを掘るなど大規模工事が必要で多大な時間と経費がかかる。
 福島の事故を受け、原発の安全対策は厳格化された。事故に対処する施設のほか、運転期間も原則40年と定められ、原子力規制委員会が認めれば最長20年延長できることになった。
 川内原発は1号機が2024年7月、2号機が25年11月に期限を迎える。九電はすでに特重施設の建設費約2200億円を含め、安全対策に総額四千数百億円を投じており、運転延長を申請するのは確実とみられる。
 申請するなら期間満了の1年前がリミットとされ、その際、地元の意向が問われることになりそうだ。原発依存を続けるのか否か。地元の薩摩川内市と合わせ、知事の判断が極めて重大な意味を持つ。
 南日本新聞が5月に行った電話世論調査によると、川内原発の運転延長に「反対」「どちらかといえば反対」と答えた人が53.8%で、「賛成」「どちらかといえば賛成」の38.0%を上回った。運転延長に対する県民の懸念が強いことがうかがえよう。
 注目すべきは、反対理由「できるだけ早く再生可能エネルギーに移行すべきだ」、賛成理由「再生可能エネルギーの普及まで当面必要」が、それぞれ最も多かったことだ。
 県民の多くが、原発から再生可能エネルギーへの移行を望んでいるとみていいだろう。エネルギー転換を推し進める政策が県に求められる。
 川内原発を巡っては、10年11月に3号機増設に同意する意見書を県が国に送付。4カ月後の東日本大震災を受けて手続きを凍結した経緯がある。手続きの再開は困難な情勢だが、九電は増設の可能性を否定していない。
 高レベル放射性廃棄物の処分など、原発は将来の世代に大きな影響を及ぼしかねない。長期的視点に立った責任ある政策論議が求められる。