[ジャパンライフ] 首相推薦枠巡り説明を
( 9/20 付 )

 3年前に破綻した「ジャパンライフ」による高額な磁気ネックレスなどの預託商法を巡り、警視庁などの合同捜査本部は詐欺の疑いで元会長の山口隆祥容疑者や元幹部らを逮捕した。
 事業実態がないのに、客が購入した商品を会社に預けて貸し出すと高い利回りの配当を得られると勧誘。高齢者を中心に、鹿児島など44都道府県の延べ約1万人から2100億円を違法に集めたとみられている。
 同社は政官界やマスコミなどの人脈をアピールして客を信用させてきた。昨年、2015年の「桜を見る会」に招かれた山口容疑者が安倍晋三前首相の推薦枠だった疑惑が浮上し国会で追及されたが、うやむやになっている。
 事件の全容解明と被害回復を急ぐ必要がある。併せて、桜を見る会が宣伝に利用され、被害拡大の一因になったことを踏まえ、政府は山口容疑者を招待した経緯を調査し、説明を尽くさなければならない。
 直接の逮捕容疑は、山口容疑者らが17年8~11月、債務超過と知りながら、購入した商品を周囲に宣伝すれば元本を保証し配当を払うとうそを言い、12人から計8000万円をだまし取った疑い。認否は明らかにされていない。
 捜査関係者らによると、同社は03年8月から訪問販売で磁石を埋め込んだ数百万円のネックレスやベストの購入を勧め、購入後に預ければ年約6%の配当が得られるとうたった。しかし、当初から新規契約の代金を配当に充てる自転車操業だったとみられる。
 顧客を獲得するほど報酬を得られるマルチ商法の仕組みも取り入れ、人間関係を築いて契約に持ち込む手法を展開。多くの高齢者が老後の蓄えを失い、被害額が1人で10億円に上る人もいるという。
 山口容疑者は1975年の同社設立以降、中曽根康弘元首相らへの政治献金を繰り返す一方、中央省庁の元官僚や元朝日新聞政治部長を幹部に迎えた。資金の一部がパイプ作りに使われていた構図が浮かぶ。
 桜を見る会を巡っては15年の開催時、山口容疑者宛ての招待状に招待区分の「60」が付されていた。野党は過去の例から首相推薦枠の疑いがあると追及したが、安倍氏をはじめ、政権側は提起された疑問点に正面から答えてこなかった。
 菅義偉首相も官房長官時代に「再調査は考えていない」と明言している。このまま、山口容疑者のような人物がなぜ招待されたかが明らかにならなければ政治不信は払拭(ふっしょく)されない。
 預託商法では大規模な消費者被害が繰り返され、規制を目的とした預託法が機能してこなかった。消費者庁は法改正で預託商法そのものを原則禁止する方針だ。罰則の強化を盛り込むなど実効性ある法にすべきである。