[大規模風力発電] 地域の理解が不可欠だ
( 9/22 付 )

 鹿児島県内で大規模な風力発電計画が相次いで浮上している。電力買い取り補助の新制度導入など、国が再生可能エネルギー普及に本格的に乗り出す追い風を受けての動きである。
 地球温暖化が深刻化する中、環境への負荷が小さい再生エネの普及は大いに進める必要がある。とりわけ、風力発電はコストが低く、昼夜を問わず発電できることから期待が大きい。
 ただ、大規模な計画に周辺住民には自然環境への影響や健康被害を懸念する声もある。事業者には、地元の理解を得た上での計画推進が望まれる。
 県によると、建設に当たって環境影響評価(環境アセスメント)が必要な最大出力1万キロワット以上の施設計画は県内17区域で持ち上がっており、うち7区域は県内で前例のない出力10万キロワットを超す大規模なものだ。
 計画は、安定して強い風が見込める北薩に集中しており、熊本・宮崎県境を越えるものもある。中でも阿久根、出水、薩摩川内、伊佐、さつまの5市町にまたがる地域には3事業者が、高さ130メートル前後の風車計約130基の設置を計画している。
 こうした動きに地元では、付近に生息するクマタカなど希少生物への影響や森林伐採による土砂崩壊を懸念する声が上がっている。さらに風車の回転に伴う低周波音や騒音による健康被害に不安を訴える住民もいる。
 計画通りなら、広い範囲に巨大な風車が林立することになる。住民が不安に思うのは無理もない。
 洋上風力発電も北薩沖と吹上浜沖で二つの計画がある。それぞれ風車75基で最大出力60万キロワット、102基で96.9万キロワットと陸上よりも大規模な施設だ。
 電力の脱原発依存が求められる中、現在のエネルギー基本計画は、2018年度で17%の再生エネ比率を30年度に22~24%にし、主力電源化することを目標に掲げている。さらに国際的な批判を受け、脱「石炭火力」への転換も急がなければならない。
 国は、年度内に策定する包括政策「再エネ経済創造プラン」の中で洋上風力発電を後押しする考えだ。
 梶山弘志経済産業相は「大型の洋上風力が不可欠だ」と強調し、当面10年間は年100万キロワット程度の洋上風力導入を目安とする考えを示した。
 九州は北海道などと並んで洋上風力発電に適した地域が多いとされ、長崎県五島市沖が普及法に基づく促進区域に指定されている。鹿児島県でも期待が高まるのは当然だろう。
 国は再生エネ普及に向け、産業の競争力強化やインフラ構築と並んで、地域社会との共生を3本柱に据える。
 主力電源として安定供給を図るには地域社会の理解が欠かせない。計画段階から積極的に情報公開し、透明性の高い議論を深めることが重要である。