[新型コロナ GoTo拡大] 感染状況で柔軟対応を
( 9/29 付 )

 新型コロナウイルス禍で打撃を受けた業界を支援する政府の「Go To キャンペーン」のうち、飲食店向けの「イート」、文化芸術・スポーツが対象の「イベント」「商店街」が10月中に始まることが決まり、先行した観光分野の「トラベル」と合わせて支援策の4事業が出そろった。
 トラベルについては、感染拡大で除外されていた東京発着の旅行も10月1日から対象に加わる。
 昨年の観光庁統計によると全国の国内宿泊者の2割を東京都民が占めており、地方の観光産業に与える影響は大きい。東京追加に合わせ、鹿児島市が県外観光客向けに宿泊クーポンを販売するなど期待が高まっている。
 一方で、人の移動が拡大すれば感染リスクが増大するだけに地方の不安は根強い。政府は状況に応じて対象を見直すなど柔軟に対応すべきである。
 イートは飲食店の予約サイトを通じたポイント付与やプレミアム食事券の販売、イベントは音楽コンサートや演劇、スポーツに関する行事のチケット購入の割引や物販などで利用できるクーポン付与などで、商店街が開催する催しにも支援を想定している。
 売り上げ減に苦しむ関連産業には朗報に違いない。
 気掛かりなのは、経済活動の再開に前のめりな政府の姿勢だ。
 政府は7月に始まったGoToトラベルを延べ1300万人超が利用した一方、利用者の感染は10人超にとどまるとしている。菅義偉首相は「やらなかったら大変なことになっていた」と推進する姿勢を鮮明にしている。
 東京追加を表明した政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会で尾身茂会長ら専門家は、9月末の感染状況を見極めるようくぎを刺したが、西村康稔経済再生担当相は「基本的に了解いただいた」と押し通した。
 東京の新規感染者数は9月下旬も200人を超える日があるなど予断を許さない。東京追加など需要喚起策を拡大するなら、それが原因で感染拡大した場合の備えが欠かせない。
 政府は感染状況を注視し、専門家の知見にしっかり耳を傾けるべきだ。状況に応じてイベントの中止や一部地域の除外など、見直す際のルールをあらかじめ定めておくことも有効だろう。
 分科会は人の移動増を見込み、感染リスクの高い具体例として、飲酒を伴う懇親会、大人数や深夜に及ぶ飲食、マスクなしでの会話などを示した。酒を飲むと声が大きくなったり感染防止の意識が薄れたりすると、特に注意を呼び掛けている。
 コロナ禍が長引く中、適度に経済を回していく必要がある。それぞれが可能な限りの感染予防を心掛けたい。