[GoTo混乱] 中小支える配慮が必要
( 10/18 付 )

 新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた観光や飲食業を支援する政府の「Go To キャンペーン」で混乱が相次いでいる。
 観光支援のGoToトラベル事業では、宿泊割引の予算枠が上限に迫った大手旅行サイトが割引額を引き下げたことを受け、国土交通省が急きょ予算枠を追加配分。地域ごとに設定していた割引予算枠を巡っても、人気地域への旅行商品が売り切れた業者が出たとして枠を事実上撤回した。
 全体で1兆6794億円という国の巨額予算を投じる事業だが、制度設計の不備は否めない。中小事業者を支えて地方経済を再生させるという基本路線に沿って、政府は見直しを急ぐべきである。
 トラベル事業の各社への予算割り当ては旅行大手などが請け負う事務局が取り仕切り、国からは1866億円もの委託費が支払われる。今月から東京発着旅行が解禁されたのに伴う予約の急増は予想されたことだ。見積もりが甘く、緊張感を欠いていたと言わざるを得ない。
 割引額引き下げで問題となった大手旅行サイト側は、制限適用について国へ事前報告していた。にもかかわらず混乱を招いたという点では監督責任も免れない。
 旅行者の混乱解消のためとはいえ、追加配分に「大手サイトにさらに予算をつぎ込めば、いつまでも中小に客の目が向かない」と中小旅行会社から不満の声が上がるのはもっともだ。
 国交省はこれまで大手集中を避け、中小に手厚く配分するとしてきたのに、このままでは多くの事業者の期待を裏切ることになる。中小旅行会社や、低価格で良いサービスを提供する中小宿泊施設にも客足が向くように努力してもらいたい。
 全国13地域ごとの割引予算枠をなくした判断も、経済効果の偏りを生まないか疑問が残る。
 加えて、政府の対策分科会は人が密集すればコロナ感染拡大を招くと、旅行先の分散化を提言していた。この点の整合性も問われる。
 飲食店向けGoToイートのポイント付与事業も、ポイント目当てにインターネットで予約して店では少額の食事を注文する客が現れ、混乱した。
 予約サイト登録店は実際に来店すれば「送客」手数料を払わなければならず、利益は出づらい。農林水産省は開始1週間でポイント付与額より低い飲食を対象から除外した。
 トラベル事業に関連しては航空各社が復調傾向を示し始めた。イート事業でも25%割り増しの食事券が鹿児島市などで好調な売れ行きを見せている。
 政府はこれまでの混乱や効果を速やかに検証し、ひとつひとつ制度の穴を埋めていく必要がある。