[新型コロナ・GoTo見直し] 遅きに失した首相判断
( 11/22 付 )

 菅義偉首相はきのう、新型コロナウイルスに対応した需要喚起策「Go To キャンペーン」の運用を一部見直すことを表明した。
 観光支援のトラベル事業では、感染拡大地域を目的地とする旅行の新規予約を一時停止。飲食店支援のイート事業でも、食事券の新規発行停止などの検討を都道府県知事に要請する。
 感染者が急増する中、経済再生を優先してきた菅政権にとって方針転換を余儀なくされた格好だ。ただ、具体的な対象地域や開始時期は示せなかった。3連休に入ってからの判断は「遅きに失した」との批判を免れまい。
 経済と感染防止の両立には限界があり、欧米のような爆発的感染が生じれば元も子もない。政府には硬直的な姿勢を改め、直近の状況に臨機応変に対応していくよう求めたい。
 国内の新規感染者は10月下旬から拡大傾向にあり、特に東京、大阪、北海道、愛知などで顕著だ。全国ではきのうまで4日連続で2000人を超えた。
 専門家からは「第3波」の到来を指摘されていた。だが、菅首相は自ら主導したGoTo事業の見直しに否定的な態度を取り続けた。
 20日には政府の新型コロナ対策分科会が事業見直しを含む提言をまとめ、対応を迫った。尾身茂会長が「今まで通りでは経済、雇用への影響が甚大になる」と強調したのは、危機感の表れに違いない。
 北海道などでは医療体制逼迫(ひっぱく)の恐れが出ている。分科会が「感染急増」かどうかを判断する指標の一つ、病床使用率25%以上は18日時点で9都道府県と、1週間前の5都府県から増えた。
 都道府県側からは、これまでGoTo事業の中止などを望む声は表立って出てこなかった。経済回復の腰折れを避けたい意識が強いためとみられるが、今回の見直しで新たな判断を迫られることになる。
 西村康稔経済再生担当相は会見で「都道府県知事と感染や病床の状況を分析し、緊密に連携していきたい」と述べた。対応を急いでほしい。
 厚生労働省の専門家組織は、第3波の要因を基本的な感染防止策の不徹底、人の移動増加などと分析。今回の特徴はクラスター(感染者集団)が職場や大学など多様化し、家庭内感染も広がって対策が難しいこととする。
 鹿児島県の病床使用率は8%にとどまる。しかし、県内でも大学のサークル関連で20人以上のクラスターが発生するなど感染確認が続いており、警戒を緩めてはならない。
 年末年始は人が集まり、飲食をともにする機会も多くなる。3密を避けるなどの基本的な予防策を徹底できるよう今一度確認したい。