[五輪委新会長] 選考過程 丁寧に説明を
( 2/18 付 )

 女性蔑視発言で辞任に追い込まれた東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の後任選びが大詰めを迎えている。
 候補者を選考する検討委員会はきのう、橋本聖子五輪相に新会長就任を要請することでまとまった。組織委理事会での決議を経て、早期の決定を目指すという。
 トップ不在による混乱の長期化を避けなければならない。だが、検討委のメンバーが公表されないなど選考の不透明感は拭えない。
 決着を急ぐだけでは、国民の不信は膨らむばかりだ。組織委は選出に至る過程を丁寧に説明すべきである。
 森氏の後任を巡っては、川淵三郎・日本サッカー協会元会長がいったん受諾した。しかし、引責辞任する森氏自身が正式な手続きを踏まずに指名したことが「密室人事」と国民の怒りを買った。さらに川淵氏が森氏に相談役就任を要請したことを明かし、批判が噴出、白紙に戻った。
 一連の経緯を踏まえ、組織委は選考過程の透明性をアピールしようと候補者検討委を設置した。組織委の御手洗冨士夫名誉会長を委員長に、男女4人ずつ8人で構成する。
 森氏は2014年1月の組織委発足以来、政官財界やスポーツ界、国際社会で存在感を発揮し、関係機関との調整に深く関わってきた。準備を進める上で不可欠な人材とみていた関係者は少なくない。
 ただ、辞任に至った経緯からも、後任には男女平等や共生社会に高い見識のある人が求められる。
 検討委は「五輪・パラ、スポーツに対する深い造詣」「国際的な活動の経験、国際的な知名度や国際感覚」「組織運営能力や多様な関係者の調和を図る調整力」など5項目を選考基準に挙げている。
 いずれも重要な内容であり、異存はない。ただ、委員長以外の委員の名前が伏せられ、会議は公開されない。どの委員がどんな問題意識を持ち、誰を推したのか分からないままでは、「密室人事」との批判が再び噴出しかねない。
 組織委は「世間の反応を気にして思い切った議論ができない恐れがある」と理由を説明するが、これでは検討委を設けた意味が薄れたのではないか。
 新型コロナウイルス感染症収束の兆しが見えない中、東京五輪・パラの開催まで半年を切り、準備は最終段階に入る。来月の聖火リレー、国内外の観客を受け入れるかどうかの判断など重要な局面が続く。
 新会長は、世界に発信された日本の負のイメージを刷新し、大会の機運を再び醸成する重責を担う。だからこそ、国民の理解と協力を得られる形で選出したい。