[新型コロナ・ワクチン接種] 効果と副反応を詳細に
( 2/19 付 )

 新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が国内でも始まった。当面は安全性を調べるための先行接種として行われ、全国の医療従事者約4万人が対象となる。
 政府は接種による集団免疫の確立が感染拡大防止の切り札と位置付け、国民の期待は高まる。一方で副反応を不安視する人は少なくない。
 先行接種で得られるワクチンの効果やリスクなどのデータは、接種するかどうかを判断する上で手掛かりになる。詳細な情報を分かりやすく公表してもらいたい。
 接種が始まった米ファイザー製のワクチンは開発段階の臨床試験で発症率を95%抑えるとの結果が出ている。有効性が20~60%程度とされるインフルエンザワクチンよりも効果は非常に高い。
 一方、副反応は注射部位の痛みが約84%、頭痛が約55%、発熱が約15%にみられたが、一時的で軽いものが大半とされる。急性の重いアレルギー反応のアナフィラキシー症状の発生は100万回に5回というデータもある。
 とはいえ、共同通信社の今月上旬の世論調査では4人に1人が「接種したくない」と答えた。さらに、要介護高齢者の4割以上が接種を迷っているという民間企業調査もある。
 先行接種する4万人のうち2万人を対象に最初の接種から7週間、健康状態を記録してもらう。データは厚生労働省の研究班が集め、毎週公表する方針だ。接種の判断ができるよう丁寧な情報発信が欠かせない。
 政府は3月ごろから感染者に接する機会の多い医師や看護師、保健所職員ら約370万人への接種を始め、4月から高齢者3600万人に優先接種する計画だ。その後、基礎疾患のある人や高齢者施設職員へと続くが、順調に進むかは見通せない。
 欧州連合(EU)は域内製造ワクチンの輸出管理を強化、各国によるワクチン争奪戦が過熱している。そのため日本が必要量を調達できる時期は未定で、政府は明確な接種スケジュールを提示できていない。
 コロナ禍の収束を急ぎたいが、多くの人にワクチンが行き渡るまでには時間がかかるだろう。世界保健機関(WHO)は、今年中に社会全体が集団免疫を獲得する見通しについて否定的な見方を示している。
 昨年からの「第3波」では入院患者が大幅に増え、1日に100人以上の死者が報告された日もある。これまで通りに感染防止策を続け、まずは感染者を少しでも減らすことが肝要だろう。焦らず着実に接種を進めていきたい。