[広がるSDGs] 当事者として考えよう
( 2/21 付 )

 貧困の撲滅や教育の保障、気候変動対策など経済・社会・環境にまたがる17分野のゴールを掲げた国連の「持続可能な開発目標(SDGs=エスディージーズ=)」達成に向けた取り組みが、日本でも急速に広がりを見せている。
 目標とする2030年までに残された時間はそれほどない。しかし、格差のない平和な世界を目指し、「誰一人取り残さない」という理念は、新型コロナウイルスの地球規模の感染拡大で重みを増すばかりである。
 よりよい未来をつくるために、多くの課題を乗り越える必要がある。国だけでなく自治体、企業、個人がそれぞれ当事者としての意識を持ち、身近な問題から歩みを始めたい。
 SDGsは国連が15年9月に提案し、全加盟国193カ国の賛同を得て採択された。それまでの開発目標が主に途上国向けだったのに対し、先進国も一緒に取り組むことを求めている点が大きな特徴と言えよう。
 17番まであるゴールは個々に分けて考えれば、実現が遠くに感じる。ただ、密接に結びついている目標も多い。一つの“扉”を開けて取り組むことで、別の問題を解決する糸口が見えてくるかもしれない。
 例えば最近注目を集める5番の「ジェンダー平等を実現しよう」。女性の社会進出を阻む一因とされる長時間労働を改善できたら、8番の「働きがいも経済成長も」が達成に近づく。
 さらに3番「すべての人に健康と福祉を」をはじめ、1番「貧困をなくそう」や16番「平和と公正をすべての人に」にもつながる。難しいと敬遠せず、興味のある分野から手掛けたい。
 日本は欧州などに比べ、スタートが遅れた。だが、内閣府の20年度調査では全国の都道府県と市区町村計1788自治体のうち、SDGs達成へ施策を「推進している」と答えたのは39.7%に上った。
 割合は18年度の4.9%から一気に伸びている。環境や社会に配慮した取り組みが地元経済を持続させ、地域の衰退を防ぐのに欠かせない、との認識がようやく深まってきた印象だ。
 内閣府は3年前から「SDGs未来都市」計93自治体を選び、支援している。鹿児島県内ではごみの徹底した分別で高いリサイクル率を誇る大崎町のほか、鹿児島市、徳之島町が入る。
 趣旨に賛同する企業も相次ぐ。鹿児島市が昨年秋から募る「かごしまSDGs推進パートナー」には先月末までに40事業所が登録し、今も問い合わせが次々と寄せられているという。
 南日本新聞社は創立140年に合わせてSDGs宣言をした。「住み続けたい鹿児島へ」「豊かに暮らせる鹿児島へ」「手を取り合う鹿児島へ」が基本目標である。地域に密着した新聞としての役割を果たしたい。