[改正高齢法] 70歳就労へ対応急ごう
( 2/27 付 )

 70歳まで働けるよう、企業に就業機会の確保を求める改正高年齢者雇用安定法(高齢法)が4月施行される。
 65歳までの雇用確保は既に義務づけられており、シニアの活用をさらに進めるものである。高齢者の働ける場が広がれば老後の不安が和らぎ、少子化で現役世代が減る中、社会保障の支え手としての期待も高まる。
 年齢に関係なく働ける社会は望ましい半面、企業には負担が生じる。70歳までの就業機会確保は罰則のない努力義務にとどまるため、取り組みは鈍いようだ。65歳までの雇用確保が努力義務から完全義務化された前例があるだけに、企業は対応を急ぎたい。
 鹿児島労働局が県内約2000社の昨年6月時点の状況をまとめた調査によると、65歳までの雇用確保はほぼ全ての事業所が対応済みだった。しかし、70歳になっても働ける制度がある事業所は34.6%にとどまる。
 全国平均も31.5%と同じ傾向にある。7割近い企業が法改正への対応を求められるが、理解が進んでいるとは言えない。
 日本商工会議所が昨年7~8月に全国の中小企業6000社を対象にした調査では、改正内容について55%が「知らない」と回答した。国はさらなる周知徹底が必要だ。
 65歳までの雇用確保は定年制の廃止または延長、継続雇用制度の導入の三つから、企業はいずれかを選ぶ。改正高齢法は新たに、起業やフリーランスを希望する人への業務委託、自社が関わる社会貢献事業での有償ボランティアを選択肢に加えた。
 継続雇用制度を巡っては再雇用先の対象が拡大され、自社やグループ企業以外も認められた。定年を変更しないまま、この制度を導入して65歳まで雇用している企業が大勢を占める。改正法施行後も、70歳まで年齢を延長して就業機会を確保するケースが多くなるとみられる。
 65歳を超えても働きたい人は多く、再雇用なら経験を生かしやすい。ただ60代の前半と後半では健康状態、家庭の事情などから能力や意欲の面で個人差が広がるのは否めず、企業側は今以上に配慮が求められる。
 シニアに活躍してもらうには、待遇の改善も重要なテーマになろう。再雇用の場合、現役時代より給与が大きく下がる例が多く、不満が聞かれる。
 一方、高齢人材の活用がさらに広がれば、新卒者ら若手の採用や賃金体系にも影響しかねない。現役世代の反発が予想されるため、労使間でしっかり論議を深めたい。
 職場環境の変化はめまぐるしい。人工知能(AI)やロボットなどの技術革新で省人化、デジタル化が加速している。人生100年時代とはいえ、働く側も研さんが欠かせない。