[新型コロナ・6府県宣言解除] 気緩めず再拡大阻止を
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 政府はきょう、10都府県に発令中の新型コロナウイルス緊急事態宣言について岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の6府県を解除する。
 新規感染者数が減少傾向で、医療体制逼迫(ひっぱく)も緩和され、来月7日の宣言期限を前倒しできると判断した。ただ、宣言が続く首都圏4都県は新規感染者の減少スピードが鈍っており、医療体制への負荷は高いままだ。まだ「出口」ではない。
 これからの季節は卒業や進学、就職、花見など人の移動や集まる機会が増え、感染力の強い変異ウイルスが流行する恐れもある。「第3波」で露呈した課題を洗い直し、再拡大の阻止に全力を挙げる必要がある。
 今回の緊急事態宣言は先月、11都府県に2月7日を期限として順次発令され、このうち栃木を除く10都府県は3月7日まで延長されていた。
 6府県はほぼ全ての指標で感染状況が最も深刻な「ステージ4(爆発的感染拡大)」を脱している。しかし、専門家からは変異ウイルスが流行段階に入りつつあるとして、現時点での解除を懸念する声も強い。引き続き監視を強化したい。
 再拡大を防ぐため、解除後も各知事の判断で飲食店に営業時間の短縮要請を継続し、応じた店には最大4万円の協力金を国が支援する。コロナ禍が長期化する中、苦境に立つのは飲食店にとどまらない。感染対策を求めると同時に、必要な支援が行き届くよう目配りが欠かせない。
 一方、首都圏4都県の知事は感染状況が依然としてステージ4の水準にあり、まだ解除は難しいとの見方で一致する。政府は期限通りで解除したい考えだが、必要なら再延長という選択肢も排除すべきではないだろう。
 一時停止中の観光支援事業「Go To トラベル」再開や強化中の水際対策の緩和は当面見合わせる。経済の立て直しは必要だが、政府が感染対策との両立にこだわった結果、第3波が広がった経緯がある。
 感染対策の決め手と期待されるワクチンの普及には時間がかかりそうだ。再び感染者が増加に転じれば医師らが治療に取られ、接種作業にしわ寄せがいき、感染収束がさらに遠のく悪循環に陥りかねない。ワクチンだけを頼みの綱とするのではなく、検査や医療体制の強化も急務と言えよう。
 国民もまた楽観できる状況でないことを十分に認識し、マスク着用や手洗いの励行、3密の回避に努めたい。
 一部解除を伝える正式な記者会見を見送った菅義偉首相の姿勢には疑問が残る。「自粛疲れ」が広がる国民の協力を得るには、首相は自らの言葉で説明を尽くすべきである。