[NTT接待] うみを出し切るべきだ
( 3/10 付 )

 総務省幹部が放送事業会社「東北新社」に続き、NTTからも高額接待を受けていたことが明らかになった。
 同省は調査の中間報告で、事務方ナンバー2の谷脇康彦総務審議官らが国家公務員倫理規程に違反する疑いが強いと認定した。東北新社からの違法接待で懲戒処分となった谷脇氏を8日付で更迭したのは当然だ。
 通信事業関係者による違法な接待は両社以外にはなかったのか。不祥事の連鎖に国民の不信は深まるばかりである。第三者を交えた徹底調査で、うみを出し切らなければならない。
 中間報告によると、谷脇氏は3件で計約10万7000円、巻口英司国際戦略局長が1件で約5万1000円の接待を受けていた。NTTの澤田純社長らと同席し、谷脇氏は3件のうち1件で5000円、巻口氏は1万円を自己負担し、残りはNTT側が支払った。
 NTTの事業計画や取締役選出には総務省の許認可が必要なため、総務省にとってNTTは倫理規程が定める「利害関係者」に当たる。中間報告は「利益誘導につながる話はなかった」としたが、にわかには信じがたい。
 というのも、総務省は東北新社からの接待を巡る調査報告で「他に倫理法令違反はなかった」としながらNTTの接待が発覚、1週間余りで調査のやり直しに追い込まれたからだ。
 総務省は今後、接待で行政がゆがめられたのではないかという疑念を晴らす必要がある。ずさんな調査でお茶を濁すことは許されない。
 谷脇氏が接待を受けた2018年9月の前月、当時の菅義偉官房長官は携帯電話料金には4割の引き下げ余地があると強調した。NTTが、こうした「菅案件」に奔走する立場だった谷脇氏から情報を得るため、会食に招いたと考えるのが自然だろう。
 与野党は15日の参院予算委員会集中審議にNTTの澤田社長を参考人招致することで合意した。谷脇氏は「携帯電話料金は話題に出たと思う」と認めている。澤田氏には接待の目的や会話の詳細など明らかにしてもらいたい。
 巻口氏の接待には、体調を崩し辞職した山田真貴子前内閣広報官も同席していた。他の通信事業者による接待の有無を含め、山田氏からの聴取も不可欠だろう。
 菅首相が幹部人事を通じて支配してきたとされる総務省の幹部らが、なぜ接待攻勢を受け、それに応じてきたのか。首相への忖度(そんたく)の一方、首相の重用がおごりを生み、倫理感がまひしたと考えざるを得ない。
 首相の長男正剛氏が勤める東北新社を巡る問題でも放送行政への影響など疑問は解消されていない。首相は指導力を発揮して事実の解明に取り組み、総務省と放送・通信業界の関係に風穴を開けるべきである。