[東日本大震災10年・津波避難] 揺れたらすぐに高台へ
( 3/12 付 )

 「岩手、福島3メートル、宮城6メートル」。東日本大震災の発生3分後、気象庁が発表した大津波警報で予測した津波の高さである。
 だが、実際はそれぞれ岩手県宮古市で8.5メートル、福島県相馬市で9.3メートル、宮城県石巻市で8.6メートル以上となり、地域によっては10メートル超の津波を観測した。
 死者、行方不明者、災害関連死約2万2000人のうち、避難が遅れて亡くなった人や行方不明者は1万8000人を超える。海岸付近で強い揺れを感じたら、迷わず高い場所へ避難する-。大震災の教訓として改めて心に刻みたい。
 予測が外れたのは、9.0だった地震の規模を示すマグニチュード(M)の推定を当初7.9と過小評価したためである。地震計が計測の許容を超え正しい数値を割り出せず、津波の高さを低く算出していた。
 気象庁はその後、巨大地震でも正確にマグニチュードを推定できる地震計を全国80カ所に設置するなどした。今後も精度向上に努めてほしい。
 津波は海水全体が動く威力の強い波で、襲来を見てからでは逃げ切ることは困難だ。地形によっては想定以上の高さになる。ハード面が整備されていたとしても油断はできない。
 巨大地震はいつ、どこで起き、津波に襲われるのか正確に予測するのは難しい。
 南海トラフ巨大地震は、M8~9級が30年以内に70~80%の確率で起こると予測されている。震源域は東海沖から九州沖と広い。震源が近かったり、入り組んだ海岸線だったりすると津波は高くなりやすい。
 犠牲者は最悪30万人以上と想定され、鹿児島、宮崎両県でも大きな被害が出る可能性が指摘されているだけに日頃の備えが欠かせない。
 大震災後、東串良町などには津波避難タワーが整備された。7、8メートル級の津波が来たとの想定で防災訓練を行っている。鹿児島市などでは津波避難ビルの指定も進む。子どもや高齢者をスムーズに誘導するためにも訓練を重ねることが大切だ。
 海抜を表示した標識も県内各地に設置されている。自宅や職場の海抜を確認し、防災意識の向上に役立てたい。
 繰り返し津波に襲われてきた東北の三陸地方には「てんでんこ」の教訓が伝わる。短時間の避難では、ばらばらに高台へ逃げろという教えである。
 先月、福島、宮城両県で最大震度6強を観測した地震では、かつての経験から高台へ避難した人も多かった。賢明な判断と言えるだろう。
 津波から命を守るために、各自が改めて避難の方法や避難先を確認しておくべきである。