[総務省と業界] 癒着の疑念は晴れない
( 3/17 付 )

 総務省幹部らへの接待や国会議員との会食を巡る問題で、NTTの澤田純社長と放送事業会社「東北新社」の中島信也社長が衆参両院の予算委員会に参考人として出席した。
 両氏は業務に有利な取り計らいを依頼したことはないと明言。だが、接待や会食の目的が「懇親を図るため」(中島氏)という説明だけで国民の納得は得られまい。
 東北新社が放送法の外資規制に違反していたことが明らかになっている。中島氏は同社が違法性を認識し総務省側に伝えていたと証言した。同省は面会の事実を否定しているが、徹底的に調査すべきである。
 東北新社は2016年10月、BSの洋画専門チャンネル「ザ・シネマ4K」の認定を申請し、17年1月に総務省から認定を受けた。その時点で外国資本の出資比率が20%を上回り違反した状態だったが、ずさんな申請と認定手続きのため見過ごされた。
 中島氏の証言では同社は17年8月、違法状態を解消するため子会社を新設し「ザ・シネマ4K」事業を引き継ぐ案を総務省側に相談したという。当時の同省担当課長はきのうの衆院予算委員会で「報告を受けた記憶は全くない」と反論、主張は食い違っている。
 だが、結果的に子会社は設立され、同年10月には承継手続きを終えている。中島氏の証言通りなら、総務省は違法性を認識したまま子会社への承継を認めていたことになり、単なる審査ミスとは言えなくなる。
 こうした経緯は総務省の規範意識の欠如だけでなく、菅義偉首相の長男が勤務する東北新社を特別扱いしたのではないかとの疑念も湧いてくる。最終決裁者は当時、情報流通行政局長を務め、辞職した山田真貴子前内閣広報官である。
 山田氏を国会に招致して事情を聴くとともに、総務省は関連するメールの有無などを改めてチェックし、癒着の疑いを晴らすべきだろう。
 NTT側は17~20年にかけて総務相経験者である高市早苗、野田聖子両衆院議員や副大臣経験者とも会食した。高市、野田両氏を含め全員が接待と認めず、大臣規範への抵触を否定した。
 だが、官僚や民間人だけでなく、供応を受けた政治家も国会の場で説明しなければ、国民の不信は拭えまい。
 総務行政を巡る政官業の不適切な関係は19年12月、かんぽ生命保険の不正販売を巡り、総務事務次官が行政処分の検討状況などを日本郵政側に伝えていたことでも浮き彫りになった。
 総務省は一連の接待で放送・通信行政がゆがめられたかどうか究明する第三者委員会を近く立ち上げる。菅首相は同省と許認可権限のある業界との不適切な関係に終止符を打つために厳格かつ透明性ある調査を指示すべきだ。