[東日本大震災10年・避難生活] 孤立を生まない環境を
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 東日本大震災では、津波や東京電力福島第1原発事故により推計で最多47万人が避難生活を送った。今なお4万人以上が全国各地で避難生活を強いられている。
 長引く避難生活のストレスで、体調悪化や過労など間接的な原因による災害関連死が相次いだ。復興庁によると、岩手、宮城、福島3県で認定されたのは、昨年9月時点で計3711人に上る。中でも原発事故のため避難を余儀なくされた福島県の7町村では、それぞれ人口の1%以上を占める。
 災害発生時は無事だったのに、命を落とす例がこれほど多いとは残念でならない。大震災後も自然災害が多発している。避難所や仮設住宅などの在り方とともに、避難者が孤立しない環境づくりが急務だ。
 大震災では、プライベートな空間を持てないまま雑魚寝をするなど劣悪な環境を強いられた。
 その後、内閣府は避難所運営ガイドラインを示し、寝る場所やトイレの改善、女性向けに配慮すべき項目などをリスト化した。新型コロナウイルス感染対策も加わり、避難所の環境改善は徐々に進んでいる。
 昨年7月の豪雨で最多約270人が避難した熊本県八代市の体育館では、白い布で仕切られた生活ブースが一定の距離で設けられた。先月、震度6強の地震が起きた福島県相馬市の体育館には、世帯ごとに間仕切りされたテントが並んだ。
 プライバシーや感染予防に留意した避難所の運営は、被災者の命を守るために重要な課題である。対策をさらに進めてほしい。
 大震災以降、仮設住宅は従来のプレハブに代わり、自治体が賃貸住宅を借り上げて家賃を負担する「みなし仮設」が急増している。
 プレハブに比べ、短期間で入居できる利点がある。一方、被災者が分散するため顔見知りがいなくなって孤立してしまえば、孤独死につながりかねない。
 官民が連携し、被災者の要望に応じてきめ細かく支えていくことが必要だ。増え続けている空き家の活用も模索したい。
 大震災では県境を越え、そのまま避難先にとどまった人や、再び避難先を変えた人も多いとみられる。
 ただ、避難者の集計方法は市町村などによって異なっている。このため、公表されている避難者数は、実際との隔たりが大きいと指摘されている。
 避難者の動向を統一して把握していないと、取り残される人が出る恐れもあるだろう。支援の手が隅々まで行き渡るように、国は実態把握に積極的に関与すべきである。