[東日本大震災10年・復興事業] 生活再建さらに支援を
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 戦後最悪の自然災害となった東日本大震災の復興事業は、政府が手厚く支援する「復興・創生期間」が今月末で終了する。
 第2期と位置付ける2021年度から5年間の事業費は、大幅に削減される。被災地のインフラ復旧が進んできたとはいえ、予算は土木事業などハード関連に重点が置かれ、住宅を再建するサポートなどが手薄になったことは否めない。生活の変化に付いていけず苦悩する人々へ引き続き息の長い支援が求められる。
 大震災は建築物やライフライン、社会基盤施設などに甚大な被害をもたらした。政府が11年6月時点で推計した被害額は16兆9000億円に上る。
 復興予算の実質的な支出額は11~19年度で33兆4000億円。このうち過半の17兆円超が道路整備や土地造成などハード整備に当てられた。
 公共事業偏重とも言える実態には、地元負担がゼロの復興事業をインフラ整備の好機と捉えた自治体の思惑がうかがえる。
 例えば、青森県八戸市と仙台市を結び、被災地を縦断する復興道路「三陸沿岸道路」は震災を機に、整備のスピードが上がり今年中にも全線開業する。災害時の輸送路としての期待が追い風となり、整備効果が小さい「無駄な道路」という批判はかき消された。
 宮城県石巻市長面地区では高さ8.4メートルの防潮堤が整備された。数十~百数十年に1度来る津波を想定した防御策だが、景観を失い、地域の衰退につながるという声は置き去りにされた。
 このほか、盛り土でかさ上げした土地は昨年5月末時点で全体の3割が未利用だ。地域の実情を細かく見ることなく過剰になった事業はないか、十分な検証が必要だろう。
 事業費が積み上がるハード整備とは対照的に、被災者の住宅再建を助ける生活再建支援金の給付は昨年10月末で全体の1%の3724億円にとどまる。支援金や貯金では十分な家の補修ができず、生活に支障が出ている在宅被災者もいる。
 災害公営住宅は被災3県で約3万戸が整備された。生活再建の場になっている半面、中には暮らしの変化から孤立する人もおり、孤独死した人は昨年末時点で324人に及んでいる。
 同住宅の中には、住人同士が見守り活動をしにくい大規模・高層のものも少なくない。復興の進捗(しんちょく)を示す指標とされる整備戸数の確保を優先した影響が被災者を苦境に追いやる構図を生んでしまったと言える。
 行政は被災者の新たなコミュニティーが成熟するまで支援し、取り残される人を出さない真の復興を目指すべきである。