[コロナ禍1年] 偏見なくし対策地道に
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 新型コロナウイルスの感染が鹿児島県内で初めて確認され1年がたった。26日までに発表された感染者は1790人に上る。
 感染経験者66人を対象に南日本新聞が行ったアンケートでは、7割の人が「家族や周囲への感染」「仕事への影響」など自らの病状以外で不安を感じたという。感染の罪悪感や差別・偏見への恐れなど心理的な負担を強いられた実態も明らかになった。
 今なお感染が続き、進学や就職などで人の動きが活発化する時期である。一人一人が対策を十分に取りつつ、感染者が身近に出ても冷静に対応したい。
 県内の感染者数は2度のピークを経た。鹿児島市の飲食店関連で県内初のクラスター(感染者集団)が発生した昨年7月と、全国的な「第3波」の感染拡大で急増した12~1月である。
 このうち秋以降は、クラスター以外の感染や経路不明者も多い。鹿児島大学大学院の西順一郎教授は「移動や会食で多発し、各地で市中感染が起きたと思われる」と指摘する。
 対策を十分取っていたのに感染した人もいるだろう。そんな人たちが罪の意識を持ってしまうのは、もっての外だ。
 アンケートの「不安に感じたこと」の自由記述でも、「子供がいじめられないか」「職場に復帰してから責められないか」と悩む姿がうかがえた。
 誹謗(ひぼう)中傷を受けたという例も少なくない。会員制交流サイト(SNS)などインターネット上でデマや顔写真、個人情報を勝手に掲載されるといった回答が寄せられた。
 西教授は「差別や偏見があるから罪の意識をもってしまう。他の感染症と同様に冷静に受け止め、詮索しない、されないものになるべきだ」と訴える。広く共有したい。
 経済的な支援を要望する意見もあった。仕事に行けなかったため収入がなくなったのは、感染者だけでなく濃厚接触者も同じだ。さまざまな状況を想定した政策を充実させることも大切だろう。
 ワクチン接種が始まり、首都圏の緊急事態宣言が解除された。一方で、変異株を含む感染の再拡大が懸念されている。過剰に反応する必要はないが、警戒を緩めてはならない。
 この1年、重症化リスクの高い高齢者に感染させないことや、沈静化まで長期間かかる高齢者施設のクラスター対策が重要と分かった。島全域のクラスターに発展した与論島と徳之島では、医療資源確保、搬送体制といった問題も浮かび上がった。
 保健行政や医療など関係機関は日頃の感染対策と併せて、こうした課題を一つ一つ解決していかなければならない。