[孤独・孤立対策] 効果的な支援続けたい
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 孤独や社会的孤立の問題に対応するため、菅政権は坂本哲志1億総活躍担当相を担当閣僚とする「孤独・孤立対策担当室」を新設した。厚生労働省や文部科学省などの職員を集めて省庁を横断して取り組む。
 衆院選へ向けて政権の新たな看板政策にしようという思惑も透けるが、長引く新型コロナウイルスの感染まん延で自殺や経済的困窮の状況が深刻さを増す中、政府がようやくこの問題に本腰を入れ始めたことは評価できよう。
 首都圏の緊急事態宣言は解除されたものの、特に非正規雇用の女性などは全国的に厳しい立場に置かれたままだ。縦割りになりがちな担当省庁をうまく連携させて、きめ細かく効果的な支援を続けてほしい。
 コロナ禍で明らかになった孤独・孤立の課題は多岐にわたり、しかもそれぞれが関連している。女性の自殺、非正規で働く人の解雇・雇い止め、ひとり親家庭の困窮と子どもの貧困、家庭内暴力などである。
 警察庁によると、昨年の自殺者数は2万1081人で、11年ぶりに前年から増えた。とりわけ女性の増加が目立ち、7026人と過去5年で最多だった。今年1、2月の女性の自殺者は暫定値で1096人を数え、増加傾向はなお続いている。
 大きな要因として雇用状況の悪化が指摘される。女性はパートやアルバイトなどで働く人が多く、コロナ禍で雇い止めに遭ったり、勤務シフトの減少で収入が落ち込んだりして追い詰められ、孤立していく構図が浮かぶ。
 内閣府の有識者研究会が「女性不況の様相」と表現した経済的な打撃に加え、外出自粛に伴うメンタルヘルスの不調なども影響したとみられる。
 こうした事態を受け、政府はひとり親だけでなく、両親がいる住民税非課税の子育て世帯にも子ども1人当たり5万円を配る給付金の支出を決めた。
 さらに、自治体への交付金の使途として、生理用品の無料配布などの活用を認めた。電話や会員制交流サイト(SNS)で自殺防止に取り組む相談事業を行うNPO法人にも助成する。
 孤独・孤立担当相の新設は、1月下旬の国会審議で、英国が2018年に世界で初めて設けた孤独担当相を日本でも創設するよう国民民主党が迫ったのがきっかけだった。
 政府が孤独・孤立問題や女性支援の対応を急いだ背景には、「公助」の前に「自助」を強調してきた菅義偉首相の姿勢が批判を浴びたことに対する危機感もあったに違いない。
 先月の緊急フォーラムでは、支援団体から首相に「市町村長に命を支える取り組みを一緒にやろうと呼び掛けてほしい」との声が出た。政府、自治体、民間が力を合わせ、必要な人に確実に支援の手が届くようにしたい。