[ジオパーク拡大] 世界認定へ連携強化を
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 日本ジオパーク委員会が、3度にわたる審査を経て、「桜島・錦江湾ジオパーク」のエリア拡大を認定した。
 鹿児島市に姶良・垂水両市が加わることで、これまで不明確だったエリアの境界線に連続性が生まれ、対象面積も4.8倍の約1583平方キロに広がる。3市などの推進協議会は今後、新たな魅力を発信しながら世界ジオパーク認定を目指すことになる。
 ただ、世界認定の前にはハードルが横たわる。鹿児島・宮崎両県にまたがる「霧島ジオパーク」との統合が不可欠で、「霧島」の拡大認定は早くても来年だ。関係自治体などはさらなる連携強化を図り、飛び地解消などの課題解決に努めてほしい。
 ジオパークはジオ(大地)とパーク(公園)をあわせた造語だ。日本ジオパーク委員会が認定した国内版は鹿児島の「桜島・錦江湾」「霧島」「三島村・鬼界カルデラ」を含む43地域。国連教育科学文化機関(ユネスコ)が認めた世界版には日本の9地域を含め44カ国161地域が認定されている。
 火山と人と自然のつながりがテーマの「桜島・錦江湾」は2013年に日本ジオパークに認定された。過去2回のエリア拡大を巡る審査では、「案内板や組織運営体制が不十分」などの理由で保留となった経緯がある。認定を機に地域の価値を見つめ直したい。
 エリア拡大によって約2万9000年前の巨大噴火でできた姶良カルデラとシラス台地の形成、その後の人々の営みとの関わりという物語性が加わる。
 地質学的に価値の高い垂水市の猿ケ城渓谷など「ジオサイト」は12から35に、生態学的に貴重な姶良市の重富海岸の干潟など「自然サイト」は0から6に、桜島の黒神埋没鳥居など「文化サイト」は10から33に大幅増となる。
 関係者も「大地の動きや野生動物、人々の生活がすべてつながっているというジオパークの考え方を伝えるチャンスだ」と期待を膨らませる。
 「桜島・錦江湾」と「霧島」を統合し、世界認定されれば、貴重な地形や地質の保護と、エコツーリズムや環境教育などによる地域振興の両立が必要で、4年に1度の再認定審査がある。認定を見据え、行政機関だけでなく地域の自発的な取り組みを促していくことも欠かせない。
 だが、同じユネスコの制度でも、「世界自然遺産」などに比べると知名度で劣るため、機運の醸成は容易でない。「天草ジオパーク」のように、「費用負担の割に交流人口増につながらなかった」などとし、自ら国内版の認定を返上したケースもある。
 世界認定を得ることも大切だが、拡大認定の意義を地元住民一人一人が十分理解し、ジオパークの特性を生かした将来像をどう描くかが重要だ。地道で息の長い取り組みが求められる。