[DV相談最多] 被害者救う対応 迅速に
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 全国の警察に昨年寄せられた配偶者らからの暴力、ドメスティックバイオレンス(DV)の相談は8万2643件で、2001年のDV防止法施行以降、過去最多を更新した。
 相談件数は増加傾向が続き、被害者の多くは女性だ。警察庁は新型コロナウイルスの感染拡大で在宅時間が増え、さらに被害が潜在化、深刻化している可能性があるとみている。
 家庭での暴力は外から見えずエスカレートしやすい。関係機関は連携して迅速に対応し被害者を救わなければならない。併せて加害者の更生教育などDV根絶に向けた対策も急ぎたい。
 DVは身体に加える暴力のほか、相手の心を傷つける心ない言動なども含む。警察庁によると、相談を寄せた被害者の76.4%は女性だった。
 鹿児島県警は418件の相談を受け、自粛期間中の外出や給付金申請を巡るけんかなど新型コロナ関連も数件あった。以前からの継続分を含むと計7311件で、過去5年で倍増した。
 刑法や防止法などによる全国の摘発は計8778件(鹿児島県警49件)で高止まりしている。加害者への指導警告は相談の7割で実施し、5年間で1.5倍近くまで増えた。警察は被害者に防犯指導したり、防犯機器を貸し出したりしている。今後も被害者の安全を最優先に対応していくべきである。
 相談は都道府県の配偶者暴力相談支援センターなどでも受け付けており、被害者には一時保護や自立支援といったサポートがある。加害者を引き離す保護命令を裁判所から出すことも可能だ。こうした支援の周知にさらに努めたい。
 一方、加害者をなくす取り組みも重要になる。鹿児島市で加害者向けの教育プログラムを続ける団体によると、コミュニケーション法などの指導を重ねると加害者に変化が表れるという。ただ、対策は全国的に民間任せなのが実情だ。国や自治体は加害者対策にもっと力を入れてもらいたい。
 気掛かりなのは、DVがある家庭で児童虐待が同時に起きている例が少なくないとみられることだ。子どもの前での夫婦間の暴力(面前DV)も心理的虐待に当たる。
 子どもに暴力を振るう配偶者を恐れ、制止できなくなるケースもあるという。負の連鎖を生まないため、暴力の芽は早期に摘み取る必要がある。
 内閣府は24時間態勢で相談の電話やメールを受け付けている。昨年10月には、最寄りの相談支援センターにつながる全国共通短縮ダイヤル「♯8008」も始めた。一人で悩まず相談してほしい。
 防止法はDVの発見者に警察や相談支援センターに通報する努力義務を課す。人ごとと思わず、異変を感じたら迷わず通報したい。