[新社会人へ] コロナ下でも前向いて
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 新年度がスタートし、全国の企業や官公庁などで多くの若者が社会人の一歩を踏み出した。
 鹿児島県内でも真新しい制服やスーツで入社式に臨む姿が見られた。マスク越しからもうかがえる緊張した表情に、これから始まる新生活への期待と不安の大きさが伝わってきた。
 新型コロナウイルス禍は経済を低迷させ、社会に変革を迫っている。先行きが見通せない時代だが、新社会人は気後れせずに前を向き、地域社会の支え手として活躍してほしい。
 今春の新卒者の就職活動はコロナ禍の影響をもろに受けた。人手不足を背景に続いた学生優位の売り手市場は企業の業績悪化で姿を消し、採用数を大幅に減らす会社が相次いだ。
 文部科学省などによると、今春卒業の大学生の就職内定率は2月1日時点で、前年同期比2.8ポイント減の89.5%だった。県内も1月末時点で同4ポイント減の81.8%にとどまった。
 日銀の3月の企業短期経済観測調査(短観)で景況感は大幅に改善したとはいえ、製造業の回復をけん引した自動車産業は世界的な半導体不足による減産が影を落とす。宿泊・飲食はさらに悪化し業種間格が拡大している。こうした難局にあることを自覚して、職場の一員として事態の打開に力を発揮してもらいたい。
 今年は入念な感染対策をして対面で入社式を開いた企業も多かった。職場の雰囲気をつかみづらいオンライン面接など制約のある就職活動を強いられてきた新社会人にとって、ともに働く上司や仲間と初日から直接やり取りできたのは心強かったに違いない。
 県内企業の入社式では、コロナ禍を奇貨として成長につなげてほしいといった思いが込められたトップの訓示が目立った。
 「コロナ禍は世の中が変わる側面を持つ。初めてのことに不安はつきものだが、失敗を恐れず果敢に挑戦を」「コロナ下の社会の厳しさや苦しさの体験は非常に有益になる」「しっかり自分の頭を使い、考える訓練を」-。自身に向けられた言葉を胸に刻み、研さんに努めてほしい。
 気掛かりなのは、若者の早期離職に歯止めがかかっていないことだ。厚生労働省によると、大学卒で3年以内に離職した人の割合は長年3割前後で推移し、17年も32.8%に上る。
 学生の仕事への理解を深めてミスマッチを防ぐキャリア教育の充実を図るとともに、長時間労働の是正など働き方改革も急がなければならない。
 自宅などで仕事をするテレワークの導入が広がる中、相談する相手が近くにおらず孤立感を覚える新人が出てくるかもしれない。企業側は心のケアに気を配り、それぞれの職場で大切に育てたい。