[皇位継承策] 速やかに道筋付けたい
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 政府は安定的な皇位継承策に関する有識者会議を立ち上げ、本格的な検討に着手した。数カ月かけて論点を整理し国会に報告、秋までの意見集約を目指す。
 現在、次世代の皇位継承資格者は秋篠宮さまの長男悠仁さまだけで、国民には「女性・女系天皇」や、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる「女性宮家」創設への支持が広がっている。政府は国民の理解が得られるよう安定継承策に道筋を付けなければならない。
 皇室典範は「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」と規定する。女性・女系天皇の容認論が広がるのは、多くの国民が皇統維持が深刻になっている現状を理解しているからにほかなるまい。
 だが、意見の集約は容易ではない。保守派は女性天皇、とりわけ母方に天皇の血筋を引く女系天皇の容認は「日本の伝統を破壊する」として異論が強い。現行制度の意義などについて専門家から意見を聴取する有識者会議での激しい論争は必至だろう。
 有識者会議では皇室活動の担い手確保も焦点になる。活動の範囲は幅広く、宮内庁は天皇代替わりを機に主要公務の分担を図ってきたが、皇族の減少は今後も想定される。
 打開策の一つが女性宮家の創設だ。皇室典範は「皇族女子は、天皇および皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」と定める。天皇陛下の長女愛子さまや秋篠宮さまの長女眞子さま、次女佳子さまは近い将来、結婚し皇族でなくなる可能性がある。
 そうなれば、悠仁さまに皇位継承と皇室活動の重責が集中してしまう。だが、保守派は女系天皇につながりかねないとして女性宮家創設に反対する。
 自民党などで有力視されているのが、結婚後の女性皇族に「皇女」の尊称を贈り、皇籍離脱後も皇室活動への協力を委嘱する案だ。担い手不足はある程度解消するだろうが、皇位の安定継承にはならない。
 さらに、終戦直後に皇籍を離脱した旧宮家(旧皇族)から男系男子の子孫を皇室に迎える案も出ている。だが、長年民間にいた人を国民は皇族として受け入れられるのか疑問だ。
 女性宮家創設の速やかな検討は、上皇さまの天皇退位を実現する特例法が2017年6月に成立した際の国会の付帯決議に盛り込まれた。しかし、安倍前政権の動きは鈍く、菅義偉首相も「男系継承が古来、例外なく維持されてきた重み」を踏まえるとして慎重な姿勢を崩していない。
 秋までに実施される総選挙を意識し、保守派の反発を避けたいに違いない。だが、憲法1条が規定する「象徴天皇制」が維持されるかどうかは国の根幹に関わるだけに本腰を入れて取り組むべきである。先送りは許されない。