[ワクチン接種] 国は確実な供給情報を
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 高齢者への新型コロナウイルスワクチン接種が12日から全国で始まる。鹿児島県内でも鹿児島市と大和村を皮切りに接種を開始する予定で、実務を担う各市町村で準備が進んでいる。
 ワクチンの接種がある程度広がってきた英国や米国では経済活動の再開が進むなど、明るい兆しが見えてきた。国内でも感染収束への切り札として期待が高まる。
 一方で、ワクチン供給の見通しは不透明で、医療従事者への優先接種も遅れ気味だ。いつ、だれに接種できるのか、全体像は見えない。自治体が着実に計画を立てられるように、国はワクチン確保と供給の確実な道筋を示さなければならない。
 新型コロナの確立された治療法がないなか、現在国内で承認されている米ファイザー社製のワクチンは発症率を95%減らす高い効果が報告されている。社会全体で接種が進めば、人口の一定割合が免疫を持つ「集団免疫」の状況になり、感染拡大を防ぐ効果が見込める。
 迅速で安定的な接種が必要だが、準備に取り組む自治体からは不安の声が上がる。最大の要因は国からの供給情報が乏しいことだ。
 河野太郎行政改革担当相は2日、5月下旬までに3600万人の高齢者の半数にあたる1800万回分の数量を自治体に配送できると説明した。しかし、政府の方針はこれまでにも二転三転している。自治体側に不信感が募るのは当然だ。
 南日本新聞が2月下旬~3月上旬に行ったアンケートでは、高齢者接種について県内43市町村の7割にあたる31市町村が「接種日程が不透明」という懸念を持っていることがわかった。
 自由記述欄には「供給日程を示してくれないことには対応できない」「日々情報が変わって確認に苦慮している」などの声があふれた。不確実な情報に困惑する職員の姿が浮かぶ。
 集団接種の場合、前例のない規模で実施され、円滑に進むかどうかも懸念材料だ。
 事前に訓練を行った自治体では、医師の予診に時間がかかったり、経過観察の待機場所で滞留が起きたりするなど、課題が浮き彫りになった。
 実際の接種では、副反応への対応も含め、さらに想定外の事態も考えられる。臨機応変に問題点を修正することが求められよう。
 大阪や東京など全国で感染者が増加している。「第4波」や変異株の広がりが接種に与える影響も心配だ。
 感染が再拡大すれば医師が医療の対応に取られて不足したり、住民が接種を控えたりする恐れもある。感染防止へいま一度、気を引き締めたい。