[コロナ下の会食] 感染のリスク見極めて
( 4/10 付 )

 新型コロナウイルスの感染収束が見通せない中、国や自治体の職員が大人数で開いた会食が問題になっている。
 厚生労働省では職員23人が宴会を開き、その後、出席者を含む6人が新型コロナに感染した。鹿児島県では県観光課職員ら39人と情報政策課の17人がそれぞれ、ホテルで送別会を開いていた。
 感染防止の範を示すべき立場の職員らの緩みともとれる行動に、市民から怒りの声が上がるのは当然だろう。
 一方で、一律の飲食制限には戸惑いを覚える人たちも少なくない。何が感染につながり、どうすれば防げるのか。飲食店と利用者の双方が、リスクを見極めた行動を取る必要がある。
 厚労省老健局の職員は3月下旬、東京・銀座の飲食店で深夜まで宴会を開いた。感染が分かった6人中3人が会に参加している。宴会や会場になった飲食店との因果関係は不明だが、同じ部署内での複数感染であり、クラスター(感染者集団)の可能性がある。
 緊急事態宣言の解除後ではあったが、東京都は飲食店に午後9時までの営業短縮を求めていた。あまりに無自覚な行動であり、あきれるほかない。
 鹿児島県内では飲食店への時短要請などは出ていない。それでも塩田康一知事は3月中旬、県民に向けて少人数、短時間の会食を呼び掛けていた。
 友人との会食を長い間控えている県民や、懇親会などを取りやめている企業は少なくない。「示しがつかない」という批判はやむを得まい。
 送別会が明らかになったことを受けて県は職員に対し、飲食を伴う会合は「原則4人以下、2時間以内」、会話時はマスクを着用するよう周知した。
 会食が問題になるのは、食事の際に飛沫(ひまつ)の飛散を抑えるマスクを外すからだ。人数が増えたり、飲酒を伴ったりすると大声を出しがちで、飛沫の量も増える。
 少人数、短時間でも感染者がいれば危険性は上がる。鹿児島大学大学院の西順一郎教授は年末年始を控えた昨年「感染対策を普段から心掛けているかどうか分からない相手との会食はやめた方が安心」とアドバイスしている。必要性とリスクを比べて開催の是非を判断し、参加する場合はマスク会食を心掛けるなど、十分注意を払いたい。
 店側は、換気やアクリル板設置など感染対策を一層徹底してほしい。自治体はその状況を発信し、安心して利用できるよう努めなければならない。
 大阪などに続いて東京都と京都府、沖縄県にまん延防止等重点措置が適用されることが決まった。変異株の広がりで、流行の第4波は第3波を超える勢いが予想される。
 県内でも今月、再びクラスターが発生した。警戒を怠らず、一人一人が行動に責任を持つことが求められる。