[熊本地震5年] 関連死ゼロへ再点検を
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 熊本地震の「前震」発生からきょうで5年になる。翌々日に「本震」が起き、いずれも最大震度7を記録した。
 熊本、大分両県で計276人が犠牲になり、そのうち避難生活中に亡くなり「災害関連死」と認められた人は221人で犠牲者の8割を占める。
 慣れない避難所生活で命を落とす犠牲者が大規模災害では後を絶たない。各自治体は関連死ゼロを目指し、避難所などの在り方を再点検したい。
 観測史上初めて震度7を2回記録した益城町や熊本市などで住宅約4万3000棟が全半壊、避難者は最大で18万3000人を超えた。阿蘇地方では本震で土砂崩れが多発し、国道57号や阿蘇大橋、JR豊肥線が寸断された。
 プレハブの仮設住宅などで生活する人は一時4万7000人を超えたが、今年3月末時点で418人に減った。交通インフラもこの1年の間に相次いで復旧した。「復興のシンボル」となった熊本城は天守閣の復旧が終わり、今月26日から内部を見学できる。
 復興は着実に進んだが、課題の一つとして挙げられるのが「防ぎうる死」と表現される災害関連死対策である。
 避難所生活で環境が悪化すれば、ストレスが募りやすい。循環器系や呼吸器系の疾患を発症し、亡くなるケースが各地の災害で相次いでいる。
 1995年の阪神大震災、東日本大震災や西日本豪雨など平成に発生した災害で、少なくとも約5000人が関連死と認められている。熊本地震では2度の激しい揺れへの恐怖から車中泊を選択した被災者も多く、体調を崩して亡くなった高齢女性も認定された。
 その反省や新型コロナ対策を踏まえ、プライバシーを守れる避難所の居住空間を整備する自治体が増えた。トイレの確保や栄養バランスのとれた食事提供に加え、障害者や女性に配慮した対策は十分か、改めて確認したい。
 さらに、行政が民間から賃貸住宅を借り上げる「みなし仮設」や、自宅を失った住民のために自治体が整備する災害公営住宅で、誰にもみとられず亡くなる「孤独死」も少なくない。
 住み慣れた町を離れ、新たな土地で暮らすだけでもストレスは募るだろう。1人暮らしで知り合いもいなければ孤立してしまう恐れがある。
 関連死を防ぐには、どんな避難生活を送ってきたのか実態を詳細に調査・検証し、他の自治体とも情報を共有することが欠かせまい。その上で必要なサポート体制を事前に構築しておくことが肝心だ。
 地震や津波、豪雨などから身を守るため、日ごろの備えや心掛けには万全を期す必要がある。同時に、難を逃れた後、避難生活を快適に過ごせる手だてを整えることが関連死ゼロにつながるに違いない。熊本地震の教訓として取り組みを急ぎたい。