[日米首脳会談] 外交の力で緊張緩和を
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 菅義偉首相とバイデン米大統領が、ホワイトハウスで初めての対面による会談を行った。
 台湾海峡の平和と安定の重要性を確認し、中国による東・南シナ海における力による現状変更の試みや威圧行為に反対することで一致した。
 バイデン氏が外国首脳と対面会談するのは、1月の就任後初めてである。日米同盟の強固な絆を示すことで、「唯一の競争相手」と位置づける中国をけん制する米国の意図もにじむ。
 沖縄県尖閣諸島の問題を抱えながらも、日本にとって中国は経済的な結びつきが強い隣国である。米中の安全保障環境が悪化すれば、日本を危機的状況に陥らせる可能性もある。日本は米中間の緊張緩和に向けて、外交の力による協調を促さなければならない。
 台湾海峡を巡る問題は、首脳会談後の共同声明にも明記された。日米首脳の共同文書で台湾に言及するのは、冷戦期の1969年の佐藤栄作首相とニクソン大統領の会談以来で、72年の日中国交正常化以降初めてである。
 米国は中国との間で「民主主義と専制主義の闘い」(バイデン氏)の渦中にある。経済成長を続ける中国は米国を抜いて世界一の経済大国になることが予想され、軍事的にも海洋進出を活発化させている。人権や法の支配など基本的価値も対立しており、米中関係は歴史的な転換点にあるといえよう。
 菅首相は会談で日本の防衛力強化へ決意を示した。だが、中国側の反発は避けられまい。会見で首相は「平和裏に解決することを最優先にすると合意した」とも語っている。軍事的な緊張感を高めることなく、対話による解決を優先させるべきだ。
 共同声明でバイデン氏は、北朝鮮による日本人拉致問題について、即時解決への米国の深い関与を再確認した。拉致問題への結束の重要性を再認識した点は歓迎できるが、被害者家族は高齢化が進む。問題の一日も早い解決には、中国や韓国の協力も必要であることを忘れてはならない。
 人権や新型コロナウイルス対策に加え、気候変動問題も会談のテーマとなった。両首脳は、脱炭素化とクリーンエネルギーに関する日米気候パートナーシップの立ち上げで合意した。
 菅首相は昨年10月、2050年に国内の温室効果ガス排出を実質ゼロにすると宣言、バイデン政権は地球温暖化対策に後ろ向きだったトランプ前政権から一転し、積極的な政策を進める。
 ただ、重要な中間点となる30年の日本の排出削減目標については、米側から取り組み強化を求める声も上がる。菅首相は今月22日の気候変動サミットまでにまとめたい考えだ。
 気候変動問題に日米が一致して取り組み、世界に向けて具体的に発信していくことが期待される。