[気候サミット] 取り残されていいのか
( 4/20 付 )

 日米両首脳は先の会談で、2050年の温室効果ガス排出実質ゼロ目標や、30年の排出削減目標の達成へ協力を強化することで一致した。
 バイデン米大統領は、トランプ前政権が地球温暖化対策に後ろ向きだったのに対し、積極的だ。22、23日には気候変動に関する首脳会合(気候変動サミット)を主催し、温室効果ガス排出削減へ協調を呼び掛ける。
 菅義偉首相は実質ゼロを掲げてはいるが、国内の議論には遅れが目立つ。このままでは世界の流れから取り残されかねない。温暖化対策の根本的な改革が急務である。
 米国が再加入した国際枠組み「パリ協定」は、産業革命前と比べた世界の気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えることを目指している。参加国は温室効果ガス排出削減などの目標を自主的に掲げて取り組む。
 目的の達成には、特に主要排出国の削減強化が重要だ。欧州連合(EU)は既に、30年までに1990年比で少なくとも55%減、英国も同68%減に目標を上積みした。バイデン政権は、かつてオバマ政権が掲げた目標を大幅に上回る2030年までに05年比50%減の新目標を気候変動サミットで表明するとみられている。
 米国はさらに、国別で最大の二酸化炭素(CO2)排出国である中国と20年代の気候変動対策の行動を強化することで一致した。世界の温暖化対策にとっては明るい動きと言えるだろう。
 先進7カ国(G7)の中で米国に次いで2番目に排出量が多い日本にも、高い目標を示すよう働き掛けを強めている。
 日本は現行目標の「13年度比26%減」の引き上げ幅が当面の焦点だ。政府は当初、新たなエネルギー基本計画を夏ごろ策定した後に、目標を見直す考えだった。
 ところがバイデン氏の大統領就任で30年目標を早急に打ち出さざるを得なくなった。海外からは50%減を求める声が出ている。思い切った削減目標設定が不可欠だろう。
 だが、環境省と経済産業省の綱引きが続いている。小泉進次郎環境相は「高い目標で官民の総力を引き出すことが必要だ」と訴える。一方、梶山弘志経済産業相は実現可能性を重視し、調整の軸となっている「13年度比45%減」には慎重な姿勢を示す。
 経済界は長年、多額の投資コストがかさむ脱炭素の推進に慎重だった。ただ、環境対応の強化は技術革新を促す面がある。いち早く新技術を開発し、国際的な競争力を高めるべきである。
 排出実質ゼロを達成するためには、現在の経済や社会の姿を根本から変える取り組みを今すぐ始めなければならない。世界第5位の排出国としての責務である。