[温室ガス46%減] 具体的な道筋が急務だ
( 4/24 付 )

 菅義偉首相は、気候変動に関する首脳会合(気候変動サミット)で、日本の温室効果ガス排出削減目標について、2030年度に13年度比で46%削減を目指すと表明した。
 現行の26%減から大幅な上積みである。海外から削減の働き掛けが強まる中、政治主導による「野心的な目標」設定に追い込まれた形だ。首相自ら表明した50年排出実質ゼロへ向け、取り組みを加速させなければならない。
 目標達成のためには、二酸化炭素(CO2)を大量に出してきた人々の生活を変えることが必要だ。脱炭素につながる具体的で実効性のある政策を早く示すべきである。
 温室効果ガスを大幅に減らすにはCO2排出が少ないエネルギー構成が有効だ。19年度は速報値で火力76%、再生エネ18%、原発6%。再生エネは伸びているが、CO2排出が多い石炭火力発電への依存度は高い。
 さらに、日本は先進7カ国(G7)で、石炭火力の新設を唯一認めている。「さらに50%減の高み」(菅首相)を目指し、国際信用を得るために全廃を決断すべきではないか。
 再生エネの拡大は期待されるとはいえ、再生エネによる電力は、買い取り費用の一部が電気代に上乗せされる仕組みになっている。そのため急拡大すれば電気代の上昇につながる可能性がある。国民の理解が不可欠だ。
 発電時にCO2を排出しない原発に期待する声はあるが、11年の東京電力福島第1原発事故の影響で、各地の再稼働は進んでいない。
 政府が50年までの政策の柱にしているのが、昨年末にまとめた脱炭素化と経済成長の両立を目指す計画「グリーン成長戦略」だ。
 洋上風力発電など14の重点分野を定め、2兆円の基金を使って企業の研究開発や普及の取り組みを支援する。50年の発電割合の参考値として再生エネ50~60%、CO2回収を前提とした火力と原発は30~40%、水素とアンモニア発電10%を掲げた。
 だが、まだ実証段階の技術も多い。再生エネの要となる洋上風力の本格導入は40年と想定し、新車販売からガソリン車をなくすのも35年が目標で、新たな目標の30年とはずれがある。
 今国会には、地球温暖化対策推進法改正案が提出されている。再生エネ発電を普及し、地域活性化や環境保全につなげる。市町村は事前に、対象とする事業や区域、事業者に求める地元貢献策といった要件を策定することが必要になる。
 これに対し、地域で主導的な役割を担う自治体からは人材不足を訴える声が上がる。
 46%減を達成するには課題は多く、残された時間は少ない。スピード感も問われている。