[県内聖火リレー] 「密」避け安全な運営を
( 4/25 付 )

 東京五輪の聖火リレーが27、28の両日、鹿児島県内で行われる。
 前回の東京以来、57年ぶりに日本で開かれる夏季五輪である。聖火をひと目見たいと望む人は多かろう。
 しかし、新型コロナウイルスが全国で猛威を振るい、3度目の緊急事態宣言が東京など4都府県に発令されている。観客が詰め掛けて「密」になると感染が拡大しかねない。
 大会組織委員会や県実行委員会などは感染対策を徹底した安全最優先の運営を行わなければならない。
 聖火は3月25日に福島県を出発し、7月23日の開会式まで全国約1万人のランナーがつなぐ。県内では191人が、初日は志布志市から鹿児島市、2日目は出水市から指宿市まで計14市町を巡る予定だ。
 感染力の強い変異株が広がる「第4波」が本格化する中、関係者が懸念しているのが、沿道で密集が発生する事態だ。これまでに通過した地域で聖火が都市部に差し掛かるたび、人だかりができる光景が繰り返されてきた。
 県内でも女優の上白石萌歌さん、タレントの恵俊彰さん、北京五輪競泳男子メドレーリレー銅メダリストの宮下純一さんら郷土ゆかりの著名人ランナーが走る予定の区間を中心に、各自治体が対応に頭を悩ませているようだ。
 栃木県では3月下旬、ランナーの男性タレント目当てに密集が生じた。事態を踏まえ県などは後の区間で一部歩道への進入を禁じたり、人が集まりそうなエリアに人員を多く配置したりした。こうした事例も参考に、対策の実効性をさらに高めなければならない。
 組織委は、密集を回避する間隔の保持のほか、マスク着用、声を出さない拍手での応援などを呼び掛けている。現場でも繰り返し注意を促す必要があろう。
 また、リレーの様子は組織委のホームページなどでインターネット中継されている。安全な「リモート観覧」の周知にさらに努めたい。
 感染の急拡大で大阪府や松山市で公道での実施が中止されるなど見直しが相次ぐ。鹿児島県からリレーを引き継ぐ沖縄県でも、新型コロナの「まん延防止等重点措置」が適用される宮古島市でのリレー中止が決まった。
 鹿児島県内も感染者が連日確認されており、油断できない状況にある。感染状況を注視し、悪化の兆候が見られたら中止や変更に踏み切る柔軟な対応が必要だ。
 コロナ下の五輪には依然、安全面の不安から否定的な見方が根強い。一方で、リレーを見た人からは大会を身近に感じたといった好意的な声が上がる。開催へ向けた機運を高めるには、組織委が関係機関と連携し、ランナーの安全な走りを実現することが求められる。