[衆参3選挙] 政権への不信が表れた
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 菅政権発足後、初の国政選挙となった衆参両院3選挙で自民は全敗した。
 「保守王国」とされる参院の広島選挙区で議席を落とし、長野選挙区でも野党の議席維持を早々に許した。衆院北海道2区では、候補を立てることすらしなかった。
 「政治とカネ」など続発する不祥事に対する有権者の不満や、後手に回る新型コロナウイルス対応など菅政権への強い不信の表れと言えるだろう。
 広島と北海道は、自民の政治とカネの問題をきっかけに実施された。
 広島は、公選法違反(買収)で有罪が確定した河井案里前参院議員の当選無効に伴う再選挙だった。自民は、県連会長の岸田文雄前政調会長が陣営の先頭に立って引き締めを図った。
 だが、有権者は厳しい審判を下した。一昨年の参院選で党本部が河井陣営に投入した1億5000万円が地元県議らの買収に使われたのではないかとの疑念は消えない。自民の金権体質に嫌気が差したことも背景にあるだろう。投票率が過去2番目に低かったことにも表れている。
 この事件の捜査がきっかけで、吉川貴盛元農相が鶏卵大手元代表から現金を受け取った疑惑が浮上。議員辞職したのを受けたのが北海道補選である。
 自民は不戦敗を決め、有権者と向き合うことすら放棄した。政権政党の取るべき態度だろうか。
 立憲民主党の羽田雄一郎元国土交通相の死去に伴う長野補選では、弟を擁立した立民の「羽田王国」に屈した。
 菅義偉首相はコロナ対応でいずれの選挙区にも入らなかった。そもそも応援を望まれていなかったのが実情ではないか。自身も、長男らによる官僚接待問題で説明を尽くしたとは言えない。
 コロナ対策では感染拡大を抑えられず、緊急事態宣言は3度を重ねた。ワクチン接種は遅々として進まない。有権者の疑問や不安も野党候補へ票が流れた要因かもしれない。
 一方、野党は全勝に勢いづき、共闘を推進する構えだ。
 ただ、不協和音が生じたのは否めない。長野で立民候補が共産の県組織などと結んだ政策協定に、原発ゼロといった共産寄りの文言が含まれ、国民民主が反発する一幕もあった。秋までにある衆院選でも、候補を一本化するなら政策の整合性が問われる。
 補選は時の政権の勢いを測るバロメーターとなる。後に控える衆院選などで与党が敗れ、政権がダメージを受けた例は自民、民主両政権であった。
 民主党政権下の2012年10月、衆院鹿児島3区補選で、民主推薦の国民新党候補が自民候補に敗北。民主は12月の衆院選で大敗し、政権を失った。
 政治不信を払拭(ふっしょく)できないなら、菅政権は次の衆院選でも同じ結果を見ることになると肝に銘じるべきである。