[子どもの自殺] 社会で命守る手だてを
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 昨年自殺した全国の小中高生は499人で、統計のある1980年以降最多だったことが警察庁のまとめで分かった。
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う長期休校や外出自粛の影響で、学業や進路、家族関係に悩む子どもが増加しているとみられている。
 子どもの自殺は長期休み明けにかけて増える傾向にある。新年度になり、進級や進学で周囲の環境も大きく変わっている。口数が少ない、表情が暗いといったSOSのサインを見逃さず、かけがえのない命を守る手だてを社会全体で講じなければならない。
 小中高生の自殺者の内訳は、小学生14人(前年比6人増)、中学生146人(同34人増)、高校生339人(同60人増)。中でも高校生女子は前年の1.7倍余りと大幅に増えた。
 原因・動機は、進路の悩みや学業不振といった学校に関する問題をはじめ、親子関係の不和、家族からのしつけ・叱責(しっせき)、うつ病などが多かった。
 コロナ下で学校に行く機会を失い、友人と会うこともできず、孤立を深めてしまったケースもあったかもしれない。感染収束の見通しが立たない中、子どもたちへの一層のサポートが求められる。
 こうした状況を踏まえ、文部科学省は3月、児童生徒の自殺予防に積極的に取り組むよう都道府県教育委員会などに通知した。
 教育相談などで悩みを抱える子どもを早期に把握して長期休業中から心身の状況の変化に注意することや、保護者や地域による見守り活動を求めている。
 さらに自殺をほのめかすインターネット上の書き込みを発見するパトロールの必要性を指摘する。これらの対応の実効性を高めるには、関係機関との連携が不可欠である。
 相談などへの活用が期待されるのが、小中学生1人1台の整備が進むタブレット端末だ。離れていても情報をやり取りできるメリットを生かし、自宅にいる子どもの心身状態の把握やオンラインでのカウンセリングに役立てる仕組みづくりを急ぐべきだろう。
 新潟県などではタブレット端末を利用して心の不調を可視化する試みが始まっている。質問に対する子どもの回答や回答に要した時間などが心の迷いを把握する要素になるという。問題がないとみられていた子どもの自殺リスクが判明した例も報告されている。成果を広く共有したい。
 つらいときや苦しいとき、人に助けを求めるのは決して恥ずかしいことではない。鹿児島県内でも県や市町村、民間団体が電話や会員制交流サイト(SNS)で相談を受け付けている。悩みを一人で抱え込まず、連絡してみてほしい。