[原発40年超運転] 積み残した課題は多い
( 4/29 付 )

 福井県の杉本達治知事がきのう、運転開始から40年を超えた関西電力の美浜原発3号機(同県美浜町)と高浜原発1、2号機(同県高浜町)の再稼働に同意すると表明した。
 これにより、必要な地元同意手続きは完了した。2011年の東京電力福島第1原発事故後、原発の運転期間を原則40年と定めたルール下で初めての延長運転が確実となった。関電は近く運転再開に向けた作業に着手し、5月中にも再稼働させる可能性がある。
 知事は国が持続的に原発を活用する方針を示したことなどを踏まえ、総合的に勘案したとする。しかし、使用済み核燃料の搬出や実効性のある避難計画など課題は先送りにされた。県と国、関電は国民に対し、長期運転の安全性や必要性について説明を尽くし、山積する問題を解決していかなければならない。
 原発の運転期間は、福島第1原発事故を受けた原子炉等規制法改正で原則40年と規定された。ただし、原子力規制委員会の審査に合格し認可されれば、1回に限り最長20年延長できる。
 3基の運転延長は16年に認可されていたが、使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設の県外立地を求める県と、候補地を選定できない関電の議論は難航した。関電が今年2月、23年末までに候補地を確定させると約束し、知事が矛を収めた格好となった。
 関電は再稼働に向け、使用済み核燃料プールの補強や防潮堤の新設など大規模な安全対策工事を進め、事故に備えた訓練も重ねた。その結果、「ハード、ソフト両面で安全性の改善が図られた」とする県の専門委員会のお墨付きを取り付けた。
 しかし、配管などは交換できても原子炉中枢は建設時のままである。規制委の更田豊志委員長は40年を超える運転について「技術的に大きな懸念はない」との見解を示すが、福島第1原発の事故後の制御の困難さを知る国民の不安は根強い。
 共同通信のアンケートでは、3基の30キロ圏内にある21市町の大多数が原発事故時の住民避難に課題があると回答している。地域の不安を払拭(ふっしょく)するための避難計画づくりは最優先すべき課題と言えよう。
 政府は今回、40年超原発1カ所当たり最大25億円の交付金を支払うといった地域振興策を示した。新型コロナウイルス禍で地域経済が厳しさを増す中、知事には同意以外の選択肢はなかったとの見方もある。
 薩摩川内市の九州電力川内原発1、2号機はそれぞれ24年7月、25年11月に40年の運転期限を迎える。九電は延長申請を見据えた準備に入る見通しだ。長期運転の実現ありきで手続きが進むことがないよう注視していく必要がある。