[国民投票法改正] 課題と向き合う熟議を
( 5/1 付 )

 憲法改正の手続きを定めた国民投票法改正案の採決を巡る与野党攻防が大詰めを迎えている。
 改正案は改憲の是非を問う国民投票の規定を公選法に合わせ、利便性の向上を図る内容だ。2018年の提出以来、与野党の対立が続き、8国会にわたって継続審議となってきた。
 自民、公明両党は議論は尽くされたとして早期採決を目指す。一方、政党のCM規制などが盛り込まれない改正に、野党第1党の立憲民主党は難色を示している。
 課題を積み残したままにせず、有権者の利益につながる改正をいかにして実現するか。与野党はさらに議論を深めるべきである。
 改正案は投票日当日に駅や商業施設でも投票できる共通投票所の導入、期日前投票時間の弾力化など7項目で構成する。今国会では衆院の憲法審査会が昨年12月以来となる審議を行い、参院の審査会も約3年ぶりに自由討議を実施した。
 与党は衆院の審査会の次回定例日となる今月6日の採決を目標にしている。早期採決の考えには、日本維新の会、国民民主党も同調している。
 これに対し立民は、投票結果に影響を与えかねないとして政党のスポットCMやインターネット広告の規制も同時に議論するよう求めてきた。採決後の議論を主張している自民との隔たりは大きい。
 資金力の差が表れるCMやネット広告で賛否を呼び掛けるのは不公平との指摘があり、放置できないテーマである。
 とはいえ、自民、立民両党は昨年12月の幹事長会談で、改正案について今国会で「何らかの結論を得る」と合意している。CM規制などの議論を行う時期だけを巡っていたずらに時間が空費されるとの懸念があった。
 こうした中、立民は先月下旬、CM規制などについて「施行後3年をめどに法制上の措置を講じる」との文言を付則に加える修正を要求した。今月6日の採決を譲らない構えの自民は、協議に応じる方向で調整に入った。
 自民は9条への自衛隊明記や教育の充実など4項目の改憲条文案をまとめている。自民としては具体的な改憲論議に入る誘い水にしようと改正案を提案した経緯もあり、「担保」を求める立民と折り合える余地はあろう。
 衆院議員の任期満了を10月に控え、今の議員による改憲原案の国会発議は困難な情勢となっている。しかし、改憲発議を意識せず自由闊達(かったつ)に意見を交わせる好機とも言える。
 国家の根幹である憲法のどこをどう変えるのか、そもそも変える必要はあるのか。各党は衆院選に向け、コロナ禍をはじめ諸課題に対処する憲法観を国民にはっきりと示すべきである。