[「こども庁」構想] 機能的な組織が必要だ
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 自民党は、子ども関連政策の司令塔となる「こども庁」創設に向けた議論を始めた。政府が6月ごろ策定する「骨太方針」への反映を目指す。
 子ども政策は多岐にわたり、所管は複数の省庁にまたがる。一元化によって政策決定の迅速化などが期待されるが、各省庁が所管するテーマをどう振り分けるのかなど課題は多い。
 公明党は「子どもの未来創造特命チーム」を新設、立憲民主党も「子ども家庭庁」の設置法案策定に向けたワーキングチームを発足させた。機能的な組織づくりへ議論を深めなければならない。
 こども庁構想は、少子化対策に取り組む自民の国会議員有志が4月1日、菅義偉首相に提言した。これを踏まえ菅首相は国会で「施策の縦割りを打破し、組織の在り方を抜本から考えることが必要だ」と実現に意欲を示した。
 子ども関連施策は医療、教育、虐待、貧困、少子化対策など幅広い。構想の背景の一つに、こうした施策を所管する省庁の仕組みが複雑で国民には分かりづらい点が挙げられる。
 幼稚園、小中学校は文部科学省、保育所や障害児施策、児童虐待防止は厚生労働省、少子化対策や認定子ども園、幼児教育・保育の無償化は内閣府が所管する。法務省や警察庁が関係するケースもある。
 また、こうした縦割り行政が政策決定の遅れや連携不足につながっているとの指摘もある。
 児童虐待とドメスティックバイオレンス(DV)は各種統計から密接に関わっているとされる。だが、児童虐待対策を担う児童相談所は厚労省が所管し、DV対策を担当する配偶者暴力相談支援センターは内閣府が所管する。
 一元化すれば、痛ましい事件を減らす効果が期待できる。こども庁構想を巡る議論の中で、組織の在り方を検討すべきだろう。
 自民は党総裁直属の機関を新設、具体的な体制づくりを進める。ただ、ばらばらになっている省庁の役割を整理するのは難題に違いない。
 こども庁はどのテーマを所管するのか。対象となる子どもの年齢をどこで区切るのかといった問題である。
 例えば、未就学児を受け持つと決めたとしても、虐待の問題は小学生以上にも起こりうる。きちんと整理しなければ、かえって混乱を招きかねない。
 「縦割り打破」を掲げる菅首相にとって、こども庁創設は格好のアピール材料になる。秋までに実施される衆院選で子育て世帯の支持を獲得する目玉公約にしたいとの狙いも透ける。
 ただ、省庁再編につながる課題であり、役所の既得権にメスを入れる作業には抵抗も予想される。選挙目当てではなく、与野党がじっくりと腰を据えて取り組むべきである。