[介護保険料] 高齢者の負担は限界に
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 65歳以上の介護保険料が4月に改定され、向こう3年間の鹿児島県内の平均(基準額)は月額で148円上がり6286円になった。
 2000年の介護保険制度スタート時の3116円から倍増し、全国平均も同様に6000円程度に上がるとみられている。「5000円が負担の限界」といわれていただけに、制度存続に赤信号がともった段階と言えよう。
 来年から団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に加わっていくため、介護サービスの需要はさらに高まる。次回改定でも保険料の上昇は避けられない状況だ。給付と負担の在り方を巡り、国民的な議論は待ったなしである。
 介護保険はサービスに要する費用を利用者の自己負担分を除き、40歳以上の人が払う保険料と、税からの公費で半分ずつ賄う。保険料の上昇は高齢化が進み、サービスの利用が増えていることが主因だ。
 人手不足が深刻な介護職員の処遇改善などのため、サービス事業者に支払う介護報酬が4月から全体で0.7%引き上げられたことも響いた。
 県内はほぼ3人に1人が65歳以上となり、制度開始時に5万人だったサービス利用者は9万人(19年)に増えた。後期高齢者の割合や、費用のかかる施設サービスの利用率がともに高く、保険料は全国平均を上回る。
 県のまとめによると、改定後の県内43市町村の65歳以上の保険料は伊佐市の4850円を除けば全て5000円を超えた。しかも7割強の32市町が6000円以上で、南さつま市の7400円が最も高い。
 今回の改定の特徴に、保険料を引き上げない自治体が相次いだことが挙げられる。据え置きが前回の5市町から14市町村に、ゼロだった引き下げも6市町に上った。
 高齢世帯の家計の柱である年金の額が増えず、負担が重くなっていることが背景にあるようだ。基金を取り崩し、保険料を据え置いた自治体の担当者からは「年金から6000円も天引きするのは気の毒」との声が上がる。
 日本の高齢者数のピークは40年ごろとされ、保険料の上昇は今後も続く。一方、介護サービスを担う職員の不足は改善の兆しが見えない。人材確保のため事業者に支払う報酬を引き上げれば、保険料にはね返ってくるだけに悩ましい。
 制度の存続には改革が欠かせない。要は給付と負担のバランスをどう取るか。無駄を省きつつ、必要なサービスのためには負担増も避けられない。
 40歳以上となっている加入者の年齢引き下げや、一定の所得があってサービス利用時に2割を負担している高齢者の対象拡大などが検討課題になるだろう。いずれにしろ改革は国民に痛みを伴う。熟議を重ねたい。