[赤木ファイル] 全面公開で真相解明を
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 森友学園への国有地売却に関する公文書の改ざんを強いられ、自殺した財務省近畿財務局の元職員赤木俊夫さんが、決裁文書改ざんの過程をまとめた文書「赤木ファイル」について、国が初めて存在を認めた。
 赤木さんの妻雅子さんが国などに損害賠償を求めた訴訟で、国側が出した意見書で明らかになった。6月23日の大阪地裁での口頭弁論に提出予定だ。
 昨年3月に提訴し、ファイルの証拠提出を求めてから1年余り。存在の確認になぜこれほど時間がかかったのか、国は説明を尽くす必要がある。
 国は、第三者の個人情報が含まれるとして黒塗りなどのマスキングが必要とする。だが、ファイルは赤木さんが公務員の誇りをかけて命懸けで残したものである。改ざんの真相を明らかにするため、全面公開するべきだ。
 2016年の森友学園への国有地売却を巡って、財務省は交渉記録を廃棄、安倍昭恵前首相夫人や政治家についての記述を削除するなど、14件の文書を改ざんした。赤木さんは理財局長だった佐川宣寿元国税庁長官の指示で関わったとされる。
 国が存在を認めたのは、改ざんが時系列にまとめられた文書や理財局と近畿財務局の間で送受信されたメールなどだ。誰からどんな指示が出され、赤木さんがいかにして自殺に追い込まれたのかを知る重要な証拠といえる。
 ファイルの存在は、赤木さんの直属の元上司も証言していたが、国は存否すら明らかにしてこなかった。国側は「探索中」とし、麻生太郎財務相も国会で「訴訟外で答えるのは差し控える」と答弁している。
 地裁に提出を促されてようやく存在を認めたもので、都合の悪い文書を隠してきた不誠実な態度と言われても仕方あるまい。
 森友問題では昨年6月にも別の訴訟で、近畿財務局と学園側の交渉記録が当初開示されず、大阪地裁が不開示は「情報公開法上、明らかに違法」と指摘している。国は、公務員が作成した文書は国民全体の財産とする認識に欠けていると言わざるを得ない。
 財務省は18年6月に決裁文書改ざんの調査報告書を公表したが、具体的な動機や詳細な指揮命令系統などは明らかになっていない。国有地が8億円余り値引きされた根拠も不明なままだ。
 昨年9月の共同通信社の全国世論調査では森友、加計学園や桜を見る会の問題を「再調査するべきだ」との回答が62.2%に上った。国民は国の説明に納得していないと言える。
 そもそも文書の改ざんは当時の安倍晋三首相が国会で「私や妻、事務所が関わっていれば首相も国会議員も辞める」と発言したことに端を発しているとみられる。国には赤木さんの死と向き合い、真実を解き明かす責務がある。